2016 Fiscal Year Research-status Report
卵細胞膜マイクロドメインUPIII-Srcシステムの形成と生理機能
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15K07083
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
佐藤 賢一 京都産業大学, 総合生命科学部, 教授 (30235337)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 受精 / 膜マイクロドメイン / ウロプラキン3A / シグナル伝達 / ゲノム編集 / 卵成熟 / アポトーシス / リプログラミング |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、アフリカツメガエル卵母細胞をモデル実験系に、卵成熟、受精、および初期発生における細胞膜マイクロドメイン局在性タンパク質シグナル伝達複合体(ウロプラキン3AーSRCシステム)の形成と生理機能を明らかにするための実験をおこなった。継続的に進めているウロプラキン3Aをゲノム編集によりノックアウトしたネッタイツメガエルの作成に加え、特に今年度において新たに、卵成熟反応完了後の卵母細胞(未受精卵/第二減数分裂中期で細胞周期を停止している)が12時間以上未受精のまま放置された場合に起こすアポトーシスに焦点をあて、1、卵表層の形態(顕微鏡観察下での動物極と植物極の細胞学的特徴)、2、卵細胞内MAPキナーゼのリン酸化(リン酸化特異抗体による検証)、3、カスパーゼ3/7活性、の3点を指標としたアポトーシスの段階的進行を評価し、細胞膜マイクロドメイン機能のアポトーシス実行卵における維持と破綻を解析した。また、ウロプラキン3AーSRCシステムと連携するシグナル伝達機能分子としてヒト膀胱がん細胞株5637で同定されているFAKチロシンキナーゼの卵母細胞における発現と卵成熟への関与の有無の評価、濾胞細胞内にある未成熟卵母細胞がホルモン依存的に卵成熟ならびに濾胞細胞からの離脱を実行するしくみを試験管内で検証するシステム構築の試行も合わせて新たに取り組んだ。卵アポトーシスに関連するものも含め、学術論文2件と英文図書チャプター1件の発表も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
以下の事由により「やや遅れている」と判断した。 1、ウロプラキン3Aノックアウトネッタイツメガエルの作成:実験に十分な卵母細胞を調整することができていない。2、アポトーシス卵における細胞膜マイクロドメインの機能変化の検証:アポトーシス実行卵のサンプリング条件は定まったものの、実験に十分な量のサンプルを調製することができていない。3、FAKチロシンキナーゼの生理機能の解析:卵母細胞内FAKの同定には成功しているが、その酵素活性やリン酸化状態を検証するための適切な実験ツール(リン酸化特異抗体、特異的阻害剤など)が未確定である。4、未成熟卵母細胞がホルモン依存的に濾胞細胞層からの離脱/卵成熟を実行する流れの試験管内再構成:ホルモン依存的な濾胞細胞層からの離脱と卵成熟を試験官内再構成できる見通しは立てることができたが、この2つの反応のどちらが先行するのかを明らかにできていない。またMAPキナーゼ活性化との関係についても不明である。
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Strategy for Future Research Activity |
1、ウロプラキン3Aノックアウトネッタイツメガエルの作成:ゲノム編集カエルの安定作成/供給のため生殖細胞特異的なゲノム編集を引続き条件設定する。2、アポトーシス卵における細胞膜マイクロドメインの機能変化の検証:未成熟卵母細胞と成熟卵母細胞(プロゲステロン処理12時間後)を対象サンプルとして設定し、プロゲステロン処理後24時間、36時間、48時間、および72時間の卵母細胞サンプルを大量調製し、それぞれから細胞膜マイクロドメインを入手する。タンパク質染色法や試験管内受精シグナル伝達解析法などによりウロプラキン3AーSRCシステムの発現レベルやシグナル伝達機能などを検証する。3、FAKチロシンキナーゼの生理機能の解析:卵母細胞内FAKに対するリン酸化特異抗体と特異的阻害剤として適切なものを確定し、卵成熟、受精、アポトーシスに対するFAKの関与を検証する。4、未成熟卵母細胞がホルモン依存的に濾胞細胞層からの離脱/卵成熟を実行する流れの試験管内再構成:この2つの反応のどちらが先行するのかを明らかにするとともに、MAPキナーゼ阻害剤などを用いたシグナル伝達との関係性の検証も行う。
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Research Products
(10 results)
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[Book] Animal Models and Human Reproduction: Cell and Molecular Approaches with Reference to Human Reproduction2017
Author(s)
Sato, Constantinescu, Pence and Telugu, Mossa et al., Smorag and Pantakani, Sirard, Herrick et al., Richard et al., Mordhorst and Prather, Carnevale, Wright, Racicot and Latham, Watanabe and Tateno, La Spina et al., Kutchy et al., Nevoral and Sutovsky, Ge et al., Petkov et al., Velho et al., and Anzar
Total Pages
600 (383-408)
Publisher
Wiley
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