2017 Fiscal Year Research-status Report
収斂運動を効率化する周期性を持った細胞動態の分子基盤
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15K07088
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
鈴木 誠 基礎生物学研究所, 形態形成研究部門, 助教 (10533193)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 収斂運動 / ゼブラフィッシュ / アクトミオシン / 神経管 |
Outline of Annual Research Achievements |
等方的なアクトミオシン収縮とそれが異方的な細胞退縮に変換される機構に関する解析の結果を踏まえ、細胞レベルの運動が組織レベルの収斂現象の効率化に繋がる仕組みを検証することを目的とした。この目的のためには、F-アクチンの動態と移動距離を長時間解析し、個々の細胞が有するアクトミオシン周期の発生段階に従う変化と、細胞の収斂運動の活性の変化の間の関連性を明らかにする必要がある。そこで本年度は低光毒性・退色性のライブイメージングを実施した。ニポウディスク型共焦点レーザー顕微鏡では広視野と高空間分解能の両立が困難であったため、新たに多光子顕微鏡を用いることとし、胚のマウントや培養条件など観察の至適化を行った。その結果、神経板の広範な領域を含みつつ、細胞表層のF-アクチンの繊維構造を解析可能なレベルで画像化できる条件を得ることが可能となった。 またF-アクチン動態の周期の長さと組織全体の変形運動の関連性についても検証を行った。周期の強度は非筋型ミオシンのATP分解活性と低分子量Gタンパク質RhoAに依存することから、ミオシン調節軽鎖あるいはRhoAの変異体を発現させたドナー細胞を正常胚に移植するモザイク解析を行い、移植細胞の収斂運動が組織レベルでの収斂運動に与える影響を解析した。その結果、移植した細胞の数に応じて神経管の形態の異常の程度が大きくなった。この手法は他の候補分子の関与の検証への応用が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者が他の国際共同研究に従事する目的で国外に長期にわたり滞在することになったため、当初計画どおりに研究を実施することができず進行の程度に遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は補助期間を1年延長して実施し、当初に計画した研究を推進する。当該年度に確立したF-アクチンの周期動態と、細胞・組織レベルでの長期間の動態の程度の関連解析の手法を用いて、異方的な細胞退縮が効率的な収斂運動に繋がる仕組みを明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究代表者の国外での長期滞在により、当初計画どおりに研究を実施できなかったために、当該年度の実支出額が減少した。本研究課題は補助期間を1年延長して実施するため、生じた次年度使用額はもともと当該年度に計画した研究を実施するための機器や消耗品の購入に充てる。
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Research Products
(2 results)