2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K07103
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
菅沼 教生 愛知教育大学, その他部局等, その他 (40179114)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 共生 / 窒素固定 / ミヤコグサ / 変異体 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
マメ科植物に共生した根粒菌が発揮する共生窒素固定能を制御する維管束を介した宿主植物由来の全身的なシグナルを解明するために、①Fix-変異体Ljsyp71で特異的に発現が変動する遺伝子の特定、②特定された遺伝子の発現抑制形質転換体の表現型解析、③新規と思われるFix-変異体の表現型解析と原因遺伝子の同定に取り組んだ。その結果、以下の点が明らかになった。 1. RNA-seq解析によって、Ljsyp71変異体の実生では、16,383個の遺伝子のうち91個の遺伝子の発現が減少し、79個の遺伝子の発現が増大することが明らかになっている。そこで、変動率の大きい減少する遺伝子10個と増大する遺伝子5個について、リアルタイムPCR法を用いて、Ljsyp71変異体と他のFix-変異体sen1及びfen1とで発現を比較した。その結果、2個の遺伝子がLjsyp71変異体の実生で特異的に増大することが明らかになった。 2. 植物の全身で発現する遺伝子の窒素固定活性に及ぼす影響を、毛状根形質転換系を用いて検討することが可能であるかどうかをSYP71遺伝子を用いて検討した。その結果、SYP71遺伝子の発現をRNA干渉により抑制した毛状根形質転換根に着生した根粒の窒素固定活性は検出されず、毛状根形質転換系が有効であることが明らかになった。そこで、一つの遺伝子について、発現抑制形質転換体の作製に取りかかかった。 3. 窒素固定活性の劣るF53変異体の表現型解析を行ったところ、F53変異体は根粒着生数が劣る変異体であることが明らかになった。また、F54及びF176変異体については、劣性ホモ個体約500個体を用いた連鎖解析を終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Fix-変異体Ljsyp71で特異的に発現が増大する遺伝子が2個検出された。また、植物の全身で発現する遺伝子の窒素固定活性に及ぼす影響を、毛状根形質転換系を用いて検討することが可能であることが判明した。さらに、他のFix-変異体の連鎖解析は順調に実施された。以上のことから、次年度以降の研究計画が予定通りに進められると判断される。しかしながら、検出された2個の遺伝子の発現抑制形質転換体の解析の結果がまだ得られておらず、輸送される物質の手がかりを得るには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、次の課題に取り組む。①SYP71と関連がある遺伝子を特定するために、遺伝子発現解析を行い、Ljsyp71変異体で発現が特異的に変動する遺伝子を特定する。さらに、特定された遺伝子の発現抑制形質転換体を作製し、表現型を解析する。また、②その他の維管束で発現する遺伝子を特定するために、新規と思われるFix-変異体について、ポジショナルクローニングにより原因遺伝子を同定し、原因遺伝子の発現様式を解析する。 さらに、得られた遺伝子解析の結果から、輸送される物質に関する手がかりを得ることができたならば、③輸送される物質を特定するために、得られた情報に基づき、篩管液中に含まれる物質を分析する。
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Causes of Carryover |
遺伝子の発現解析によって、2個の遺伝子がLjsyp71変異体の実生で特異的に増大することが明らかになった。そこで、発現抑制形質転換体の作製に取りかかったが、作製に時間を要し、表現型解析が完了しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度完了できなかった発現抑制形質転換体の表現型解析を今年度実施する予定である。前年度未使用の予算はそのための試薬の購入に充てる。
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