2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on PSII hydrogen bond networks by exhaustive amino acid substitution
Project/Area Number |
15K07110
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黒田 洋詩 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 特別契約職員(講師) (80381903)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 光合成 / 光化学系II / 葉緑体形質転換 / 水素結合ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
光化学系II(PSII)複合体の酸素発生系(Mn4CaO5)とルーメンを繋ぐ複数の水素結合ネットワークの機能の解明を目指し,緑藻クラミドモナスを用いて,水素結合ネットワークを構成するタンパク質(D1,D2,CP43,CP47)のアミノ酸残基を別のアミノ酸へ置換する網羅的改変を行い,その変異が光合成活性に及ぼす影響を調べてきた. 平成29年度にはこれまでの手法に加え,PSIIの一次電子受容体QA-の再酸化速度の測定を行った.私たちのこれまでの研究から,水素結合ネットワークの一つであるYZ経路のD1-Asn298がMn4CaO5の機能に重要であり,この経路がMn4CaO5で生成する4プロトンのうちの少なくとも1つの排出に関与すると示唆していた.しかし,D1-Asn298はYZの機能に重要であり,YZ経路のアミノ酸残基のうち,D1-Asn298よりルーメンに近いアミノ酸残基への変異は光合成的生育にそれほど大きな影響を与えなかったことから,YZ経路はプロトン排出には関与しない可能性が示唆された.水分子の輸送に関与すると考えている. 一方,D1-Asp61の側鎖の負電荷がプロトンの排出に重要な役割を果たしていることが変異体の解析と共同研究による構造解析から明らかになった.また,D1-Asp61からルーメンへ続く水素結合ネットワークは複数存在するが,そのうちの一つの経路のD1-Glu65やD2-Glu312への変異はPSII活性を損なわせたが,別の経路のD2-E302やD2-E323への変異はほとんど影響しなかった.このことから,Mn4CaO5で生成する4つのプロトンのうち少なくとも1つはD1-Asp61,D1-Glu65,D2-Glu312を介してルーメンへ排出されることが示唆された.また,D2-Arg294残基はMn4CaO5の構築に重要な役割を果たしている可能性を示唆する結果を得た.
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