2017 Fiscal Year Annual Research Report
Tracing the evolutionary process of plant-microbe interaction
Project/Area Number |
15K07114
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中川 知己 名古屋大学, 理学研究科, 特任助教 (90396812)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | フタバネゼニゴケ / 進化 / アーバスキュラー菌根菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物とアーバスキュラー菌根菌(AM菌)の共生メカニズムは最初の陸上植物であるコケ植物で成立して、複雑な進化を遂げながら現代に至っていると考えられる。イネやマメ科植物などの被子植物における共生遺伝子の同定は難航しているが、ゼニゴケやヒメツリガネゴケにおける解析から、コケ植物は被子植物と比較して遺伝子の冗長性(同じ機能の遺伝子の重複度合い)が低い。一方でモデル植物として整備されているゼニゴケはヒメツリガネゴケは、AM菌共生を行わない例外的な植物である。そこで本研究は、AM菌共生を行うコケ植物フタバネゼニゴケをモデルとして、効率の良い遺伝子導入系や標的遺伝子破壊系を確立することを目的としている。 昨年度までに遺伝子導入法を改良して効率的に形質転換が可能になった。本年度はゼニゴケで運用されているCRISPR-Cas9システムを用いて遺伝子破壊を試みた。その結果、共同研究先の研究室で1遺伝子の破壊に成功した。現在、さらなる遺伝子の破壊株作製を試みている。また、これまでフタバネゼニゴケを用いたAM菌の効率的な共存培養系は確立されていなかった。本年度は北海道農試の小八重善弘博士の協力を得ながら、土壌での効率的な感染ー観察系を確立した。また雑菌の入らないプレートの寒天培地上でも共生させて胞子を形成させることに成功した。 これらの成果により、フタバネゼニゴケを用いた陸上植物の共生進化の研究が進められるだけではなく、AM菌胞子についても低コストで効率的な生産が可能になると期待される。
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