2017 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical study on understanding the information processing mechanism in electrosensory system as a system
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15K07146
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
樫森 与志喜 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (70233707)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 神経科学 / 電気感覚システム / 数理モデル / 大規模並列計算 / 情報処理機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度は、研究計画に沿って以下の成果を得た。 前年度に行ったGPU計算能力の成果を論文にまとめ、Computing (in press, DOI: 10.1007/s00607-018-0590-0)に掲載された。また、弱電気魚の周りの異なる形を持つ物体(円、正方形、正三角形、長方形、楕円)による電場のゆがみの研究に関しては、形の特性が物体の回転による電場歪みの最大振幅、幅の変化に反映されることが分かった。この成果をまとめ、現在、Biological Cybernetics に投稿中である。さらに、物体の形が魚の神経系でどのようにコードされるかを調べるため、受容器―後脳の神経ネットワークモデルを作成した。前述の電場計算のデータに基づき、受容器や後脳ニューロンのスパイク発火パターンと形との相関関係を調べた。その結果、受容器は物体の形や距離が異なっても電場の特性を忠実にコードする能力を有していることが分かった。一方、後脳ニューロンは、回転によって物体が元の形に戻る直前の発火上昇のコントラストを上げ、その発火パターンに違いが形の違いを反映していることが分かった。現在これらの成果をまとめ論文を投稿準備中である。 補助事業期間全体の成果は下記のとおりである。 先ず、本研究で用いる大規模計算に対応するため、GPGPU計算システムを構築し、大規模な数のニューロン群を用いて、その計算能力や単精度計算の使用限界について研究した。これにより、GPGPU計算が有効なニューロン数や単精度計算の適応範囲が明らかになった。また、GPGPU計算を用いた電場の有限要素法による計算では、物体の形と電場歪みの関係を明らかにした。さらに、神経コーディングの研究では、物体の形の情報が神経発火のどのような特性に現れるのかを明らかにした。これらは、電気感覚の定位機構の研究に重要な知見を与える。
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