2016 Fiscal Year Research-status Report
紡錘体チェックポイントからG1期にスリップした四倍体細胞でおこる新規の細胞死経路
Project/Area Number |
15K07158
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
井上 敏昭 鳥取大学, 医学部, 准教授 (80305573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 祐二 鳥取大学, 生命機能研究支援センター, 助教 (40432603)
古倉 健嗣 鳥取大学, 医学部, 助教 (30344039)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オートファジー / 四倍体 / 微小核 |
Outline of Annual Research Achievements |
微小管阻害剤など紡錘体チェックポイントを発動させる薬剤の抗癌作用は、M期停止中に起こる細胞死とその後M期完了せぬままG1期にスリップした四倍体細胞での細胞死または増殖停止(PSCD)にある。PSCDがオートファジーレベルに依存して起こることを見出したことから、オートファジーを糸口とする次の3つのアプローチでその機序を解明し、PSCDを標的とした制癌法を目指す。 課題1:オートファジー制御下の既知の情報伝達系の中からPSCD制御系を同定する。 課題2:オートファジーが制御する新現象としてPSCDに先行しておこる四倍体細胞での微小核形成を見つけている。この現象とPSCDとの関連を明確にし、微小核形成制御を制御する分子を知り、この中からPSCD制御分子を同定する。 課題3:微小管阻害剤耐性細胞は一度四倍体化しているにも関わらず二倍体細胞として生存することから、二倍体回帰が想定される。これらを指標としたPSCDの未知制御分子を探る。 課題1については想定していたKeap1-Nrf2経路は確かにPSCDに相関して局在と量が変動するものの人為的にそのレベルを変えてもPSCDに影響はないことから候補経路から除外した。新たな経路として他グループがM期停止中に起こる細胞死を制御する分子として報告した分子Aがオートファジーレベルで期待通りの変動することを見つけ、この分子がPSCD制御に関与するのかを検討している。課題2と3ではライブセルイメージング解析で微小核形成した四倍体細胞がその後PSCDを起こることが明確になった。二倍体回帰現象については、当初double mitosisを想定していたが、そのような像は認められなかった一方で、代わりの候補経路なる可能性のある二タイプの分裂像を少ないながらも認めた。このような挙動をする細胞についてサンプル数を増やし確認し、DNA複製の有無とオートファジーレベル変化との関連を探る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
課題1については当初の予想と異なる結果であったが、代わりの候補経路が探し当てることができた。またもう一つの他の第二の分子の関与についても浮上し、その分子自身の制御経路も分かったことも予想外の成果である。課題2と3については一定の成果は得られた一方で、機器上の問題で解析数が限定されざるを得ず、今後解析回数を増やすことが必要な現状である。また微小管阻害剤処理後の細胞を使用するため、細胞がはがれたり移動したりしやいため、定点観測のための培養条件の工夫が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
課題1については第二の分子の関与とその制御経路が分かってきた。その分子と課題3との関連が分かれば論文としてまとめる予定であるが、競争が激しく多くの研究者が着目する分子であるがゆえ、期限を区切り現在分かっている部分だけででも論文とすることを考える。代わりの候補経路についても同様である。課題2と3については、解析条件を検討すること、施行回数を増やすこと以外に、Fucciシステムを利用し、四倍体細胞から二倍体細胞が生じる際に確かにDNA複製が起きていないことを確認する。
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Remarks |
夢ナビ(大阪会場)にて講義を実施した
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