2016 Fiscal Year Research-status Report
転写因子NF-Yが制御する脂質代謝機構の解析と新規肝機能モデルの開発
Project/Area Number |
15K07162
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
吉岡 泰秀 摂南大学, 理工学部, 助教 (40572839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 政光 京都工芸繊維大学, 応用生物学系, 教授 (00182460)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Lipase遺伝子 / 転写 / ショウジョウバエ / 脂質代謝 / 脂肪体 |
Outline of Annual Research Achievements |
転写因子NF-Yを構成する3つのサブユニットの中でDNA結合サブユニットであるdNF-YAをノックダウンした3令幼虫を用いたRNA-seq解析により脂質代謝に関連する多くの遺伝子がNF-Yの制御を受けていることが示唆されている(未発表)。本研究では転写因子dNF-Yが脂質代謝に関わる機構をショウジョウバエ脂肪体を用いて研究する。脂肪体は哺乳動物における肝臓に相当する器官であるといわれていることから、脂肪体における脂質代謝関連遺伝子に関する研究は昆虫を用いた新規肝機能解析のモデルとしての可能性を持つ。 dNF-YAと遺伝的な相互作用が見られた遺伝子群のうち、Lipaseの一つであるLipase4 (Lip4)遺伝子の上流域にはNF-Yが結合するコンセンサス配列(YYRRCCAATCAG)が存在している。ルシフェラーゼトランジェントアッセイ(Lucアッセイ)において、このコンセンサス配列にNF-Yが結合できなくなるように変異を導入すると転写活性が上昇することを見出している。また、ショウジョウバエ培養細胞であるS2細胞を用いた抗dNF-YA抗体によるクロマチン免疫沈降においては、Lip4遺伝子上流域にdNF-YA結合していることを示す強い増幅が見られた。また、個体レベルではdNF-YAをノックダウンし、Nile-Red染色法で蓄積されている脂質を検出したところ、3令幼虫の脂肪体では蓄積されている脂質の量が劇的に減少していることがわかった。上記の実験結果に加え、内在性のLip4遺伝子のmRNA量の変化を示すqRT-PCRを行い、学術論文として投稿するための論文を作成中である。 また、他方で、共同研究者の山口らとともに転写因子NF-YとDREFに関する英文総説をそれぞれ執筆し査読性のある学術雑誌に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NF-YAに関するRNA-Seqによる解析結果に基づき、転写因子NF-Yのさらなる標的として脂質代謝関連遺伝子に着目し、Lipase4(Lip4)遺伝子に関して、遺伝学的な相互作用の解析、遺伝子プロモーターの解析、遺伝子発現レベルの解析、そして個体レベルの脂質蓄積の解析を行なってきた。その結果、転写因子NF-Yに制御されている脂質代謝関連遺伝子うち具体的な標的遺伝子としてLip4遺伝子を同定し、学術論文として報告する準備をする段階まで到達したため。
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Strategy for Future Research Activity |
Lip4に続いてさらに転写因子NF-Y制御する脂質代謝関連遺伝子の具体的な標的候補を探索し、同定を行う。また、個体レベルでは脂肪体を用いた表現型解析を進める。ショウジョウバエ脂肪体を用いた研究例は初期胚、成虫原基、生殖細胞等と比較しても圧倒的に報告が少ないことから、研究を進めることで新たに脂肪体を用いた解析における遺伝子マーカー、分子マーカー等の発見にもつながる。
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Causes of Carryover |
マイクロピペットをはじめとする消耗品と抗体試薬の購入の際にキャンペーンや単価契約を利用したため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生じた余剰金を次年度の予算に加えて、さらなる遺伝子解析、遺伝子クローニングの効率化を図るため、微量DNA検出機Nano drop liteを購入する。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] NF-Y in invertebrates.2016
Author(s)
Yamaguchi M, Ali MS, Yoshioka Y, Ly LL, Yoshida H.
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Journal Title
Biochim Biophys Acta.
Volume: 16
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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