2015 Fiscal Year Research-status Report
ゲノムスケール多数遺伝子配列データを用いた種の系統関係の推定
Project/Area Number |
15K07187
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
竹崎 直子 香川大学, 学内共同利用施設等, 教授 (30398036)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | phylogenomics / coelacanth / lungfish / tetrapod |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、シーラカンス、肺魚のどちらが四足動物に近縁であるか知るために3種類の多数遺伝子データを解析した。シーラカンス、肺魚、四足動物の系統関係は化石データからもまだ確立されたわけではなく、詳細な解析が必要である。2つのデータセットはすでに発表された論文(Amemiya et al. 2013 [22 species, 251 genes]; Liang et al. 2013 [10 species, 1,290 genes])から、1つは本研究の共同研究者によって作成されたもの(26 species, 831 genes)である。この解析により、肺魚がシーラカンスよりも四足動物に近いことが支持された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析により、全てのデータセットにおいて、外群としてcartilaginous fish を用いると肺魚が四足動物に近縁である系統樹が支持され、ray-finned fishを用いるとシーラカンスが四足動物に近縁である系統樹が支持された。系統分類では、ray-finned fishがcartilaginous fishよりも四足動物、シーラカンス、肺魚に近縁であることが確立されているが、近年の研究では肺魚が四足動物に近いとする説が有力である。四足動物、シーラカンス、肺魚の系統関係を知るために、なぜ外群によって異なる系統関係が支持されるのかを調べた。最も大きく影響しているのは、ray-finned fishの配列データの分化の程度がcartilaginous fishよりも高いことであることがわかった。この結論を得るために系統関係推定法や数学的モデルを考慮したり、データから推定されたbranch lengthを用いたcomputer simulationを行ったり、様々な試みをしなければならなかったので、当初の計画よりも時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析で用いたデータセット中のray-finned fishは全てteleost というグループに属している。teleostの共通の祖先ではwhole genome duplicationが起こった可能性が高く、このことによりteleostの進化速度が速くなっていると言われている。Ray-finned fishでもteleost ではないgarなどのデータが最近発表されており、試行的研究において、これらgarなどのデータの進化速度はteleostよりも遅いことがわかっている。したがって、garなどを外群として用いて、四足動物、シーラカンス、肺魚の系統関係の推定を行い、シーラカンスよりも肺魚が四足動物に近いことをより確かに示してしていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度受領額と支出額の差は198円であり、実質的にはゼロである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の通り、本年度受領額と支出額の差は198円であり、実質的にはゼロである。
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