2015 Fiscal Year Research-status Report
性ホルモン依存的な雄の繁殖戦略多様化の進化遺伝機構:トゲウオ科魚類を例として
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15K07195
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
小北 智之 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 准教授 (60372835)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 適応進化 / 遺伝基盤 / 行動生態学 / 生態ゲノミクス / ゲノム編集 / 繁殖行動 / ホルモン合成能 / アンドロゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は本モデル系(ハリヨ)へのゲノム編集を用いた逆遺伝学的手法の導入を目的として、あらゆる生物での汎用性が高いCRISPR/Cas9システムを用いた遺伝子操作実験を実施した。QTL解析や比較トランスクリプトーム解析、集団遺伝学的解析などを用いた研究代表者の先行研究から、ハリヨ生態型間の雄性ホルモン合成能変異は、雄性ホルモン(11-ケトテストステロン:11-KT)を生合成する酵素遺伝子のプロモーター領域の変異が関わっていることが強く示唆された。本実験では、まずこの領域を標的としたガイドRNAの発現ベクターを大腸菌/プラスミド系を用いて構築した。このプラスミドベクターをin vitro転写し、Cas9のRNAとともにハリヨ受精卵にインジェクションすることで遺伝子改変個体を作成することに成功した。現在、この遺伝子改変個体を育成中であり、成熟後に各種の表現型アッセイを実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本モデル系(ハリヨ)にCRISPR/Cas9システムによる逆遺伝学的アプローチの適用に成功したため、おおむね順調に進展していると考えられる。しかし、科研費の採択内定時期が10月であったため、当初予定の1研究項目(「インプラントを用いたホルモン量操作がもたらす表現型への影響」に関する実験)は平成28年度に実施することに変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
【インプラントを用いたホルモン量操作がもたらす表現型への影響】:アンドロゲン合成能が遺伝的に低い渓流型を対象として、アンドロゲン(11-KA)を注入したサイラスティックチューブの腹腔内にインプラントし、コントロール個体と比較して、雄の繁殖行動形質の発現レベルが上昇することを水槽実験により検証する。 【ゲノム編集を用いた表現型アッセイ】平成27年度にCRISPR/Cas9システムによって作出した遺伝子改変個体を育成中であり、成熟後に各種の表現型(なわばり合成能や雄性ホルモンレベルなど)アッセイを実施する。
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Causes of Carryover |
科研費の採択内定が10月であり(追加内定のため)、研究期間が当初計画よりも短くなり、充分な研究時間が確保できなかったため次年度使用が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度に実施する予定であった1項目(インプラントによるホルモン量操作)の実施に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)