2015 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリアのゲノム構造と遺伝暗号解読システムの進化に伴う尾索動物の進化
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15K07198
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| Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
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Principal Investigator |
横堀 伸一 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (40291702)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | ホソサイヅチボヤ / ミトコンドリアゲノム / 遺伝子構造 / tRNA |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本課題開始以前より進めているホソサイヅチボヤFritillaria haplostoma mtゲノムの配列決定を引き続き進めた。少なくとも2種類存在するF. haplostoma mtゲノムの一方について、コードされているcytochrome b遺伝子内に設定したPCRプライマーを作製し、全ゲノムのPCR増幅を行った。このPCR産物の配列決定を進めた結果、cytochrome b遺伝子の上流並びに下流に繰り返し配列が存在することが明らかとなった。さらに、尾索動物の進化や尾索動物mtゲノムの進化について検討する上で鍵となる種のmtゲノムの全塩基配列を決定することを計画し、特にタリア綱の中でもmtゲノムの進化速度の速いサルパ目（Iasis zonaria (Soestia zonaria)とMetcalfina hexagona）、知られている科の数に対してmtゲノムの解析が進んでいないホヤ綱管鰓亜目（Megalodicopia hians）について、mtゲノムの部分配列の決定を行った。
また、既に報告されている尾索動物mtゲノム上のtRNA遺伝子の再同定を行い、ウミタルDoliolum nationalisについて、新たに2種のtRNA遺伝子の可能性のある配列を見いだした。
今後は、引き続き尾索動物各綱に属する各種のmtゲノムのPCRによる部分配列（cytochrome oxidase subunit Iとcytochrome b遺伝子）の増幅、並びにその配列決定を進める。Mtゲノムの部分が決定されたものから、順次Long PCRを行い、mtゲノムの全長を増幅する。尾索動物mtゲノムに見られる過剰なtRNA遺伝子の発現解析と、mt遺伝暗号表の完全な解読に必要なtRNA (遺伝子)セットの探索のため、まずマボヤHalocynthia roretziをターゲットとして行う。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題開始以前より進めているホソサイヅチボヤFritillaria haplostoma mtゲノムの配列決定を引き続き進めた。F. haplostoma mtゲノムについては少なくとも2種のmtゲノムが存在し、一方はcytochrome oxidase subunit I遺伝子を、もう一方はcytochrome b遺伝子をコードしている。後者のcytochrome b遺伝子をコードするmtゲノムについて、cytochrome b遺伝子内に設定したPCRプライマーを作製し、全ゲノムのPCR増幅を行った。このPCR産物の配列決定を進めた結果、cytochrome b遺伝子の上流並びに下流に繰り返し配列が存在することが明らかとなった。
尾索動物mtゲノムの遺伝子配置は、種間で大きく異なる。tRNA遺伝子は、一般にmtゲノムの遺伝子配置変化のホットスポットであり、尾索動物mtゲノムでは、種間で報告されたtRNA遺伝子の数も異なる。これらのtRNA遺伝子が実際に機能しているのかを確認する前段階として、既に報告されている尾索動物mtゲノム上のtRNA遺伝子の再同定を行った。その結果、ウミタルDoliolum nationalisについて、新たに2種のtRNA遺伝子の可能性のある配列（tRNACysとtRNALeuUAA）を見いだした。
尾索動物の進化や尾索動物mtゲノムの進化を検討する上で鍵となるオタマボヤ綱以外のグループから種を選び、mtゲノムの全塩基配列を決定することを計画している。そのため、タリア綱の中でもmtゲノムの進化速度の速いサルパ目（Soestia zonariaとMetcalfina hexagona）、知られている科の数に対してmtゲノムの解析が進んでいないホヤ綱管鰓亜目（Megalodicopia hians）について、mtゲノムの部分配列の決定を行った。
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| Strategy for Future Research Activity |
尾索動物各綱に属する各種のmtゲノムのPCRによる部分配列（cytochrome oxidase subunit Iとcytochrome b遺伝子）の増幅、並びにその配列決定を進める。Mtゲノムの部分が決定されたものから、順次Long PCRを行い、mtゲノムの全長を増幅する。尾索動物mtゲノムの配列決定を効率化するため、次世代（次々世代）シーケンサによる解析を検討する。引き続きホソサイヅチボヤFritillaria haplostomaやサルパの一種Metcalfina hexagona等を引き続き解析するとともに、他の尾索動物の解析も順次開始する。全mtゲノムの配列決定が完了したｍtゲノムから順次、遺伝子の同定を行い、ゲノム構造の推定を行うと共に、分子系統解析に供する。
尾索動物mtゲノムに見られる過剰なtRNA遺伝子の発現解析と、mt遺伝暗号表の完全な解読に必要なtRNA (遺伝子)セットの探索のため、まずマボヤHalocynthia roretziをターゲットとして、まず、推定通り2種のtRNAPhe遺伝子が発現しているかを、cDNA解析をもとに行う。また、tRNAHisの重要なtRNA identityである－１塩基の有無と、その配列も同様に解析する。この時、環状化tRNAを鋳型とするcDNA合成をすることで、CCA末端の付加を含めたtRNAの成熟化が進んでいるか、を検証する。
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| Causes of Carryover |
2015年度は、本課題に関連する学会が東京並びに新潟と比較的近い地域で開催されたため、学会発表に付随する旅費が計上したもののおよそ半分となったことが、主たる要因である。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度は、これまでの解析結果の一部を論文として投稿、発表する予定である。そのため、英文校閲、投稿費用が発生すると考えられる。2016年度では、物品費を650,000円、旅費を150,000円、人件費・謝金を100,000円、と研究費を請求しているが、繰り越し分17,439円は人件費・謝金の増額に充てることを計画している。
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