2016 Fiscal Year Research-status Report
ケダニ類の系統推定と膨大・国内唯一の標本コレクションの危急的措置
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15K07201
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
島野 智之 法政大学, 自然科学センター, 教授 (70355337)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 胸板ダニ類 / データベース / 目録 / ダニ類 / Endeostigmata / Trombidiformes / 分子系統 |
Outline of Annual Research Achievements |
昆虫類は108万種,ダニ類5万5千種,真正クモ類4万4千種がこれまでに記録されている(Zhang, 2013) .しかしながら,日本産ダニ目のうち,種数がもっとも多いのがケダニ亜目であり,推定未知種数が最も多いものが土壌環境に生息する自由生活性のケダニ亜目である(鶴崎, 2003).自由生活性のケダニ亜目の分類学は,国内では1963年に森川国康先生が始められ,芝 実 先生(松山東雲女子短期大学)が,大きく発展させられたが,この標本類はプレパラートボックスにして,600箱以上におよぶものの採集データなどが未整理のままである.またダニ類全体の系統関係で,問題が残されているのが,胸板類,特にケダニ亜目である(島野,2016).本研究の目的は,この膨大な標本整理と,日本産ケダニ亜目のリビジョンの作成,そして,ケダニ亜目とその周辺の系統関係の整理である. 現在のところ,自由生活性ケダニ類,約3500件(2015年度),約4000件(2016年度)について,採集データを現在の地名にマッピングし直し,採集日,分類群名などのラベルを付け直し,エクセルシートに入力しデータベース化した. また,自由生活性ケダニの分類学文献もPDF化しデータベース化し,これらをもとに日本から記録のあるケダニ亜目の目録作りを開始した.住居および潮間帯のケダニ相についてこれまで得られた知見の整理を開始した.さらに,Endeostigmataを中心に未記載種の整理を行い,今後の分類学的研究をおこなっている.Sarcoptiformesの新種記載を行った.ケダニ亜目との類縁関係で重要なSarcoptiformes,特に.Endeostigmataを中心に遺伝子解析を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自由生活性ケダニ類について,既に,約3500件(2015年度),約4000件(2016年度)について採集データを現在の地名にマッピングし直し,採集日,分類群名などのラベルを付け直し.エクセルシートに入力しデータベース化した.2年目としてはデータベース化の速度がなかなか加速できない. しかしながら,一方でタカラダニ科のダニについて,系統地理学的にめざましい成果が得られた.記載分類についてもカタツムリダニ科についての新知見が得られるなど,研究の成果はあがっている.
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Strategy for Future Research Activity |
さらに多数ある自由生活性のケダニ類の標本についてのデータベース化を推進する.日本から記録のあるケダニ亜目の目録作りを加速したい.整理を行った未記載種について引き続き公表をおこなう.タカラダニ科のダニについて,系統地理学的成果から得られた普通種の種が疑わしいという問題について,分類学的な公表も視野に入れる.引き続き広範囲のケダニ亜目の遺伝子解析をすすめ成果を公表する.
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Causes of Carryover |
契約期間内に作成が完了したデータベースについて内容確認が遅れたため,支払いが次年度に持ち越した.また最終年度には遺伝子解析なども控えているため若干の節約を行い次年度に資金を投入したいと考えたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データベースの作成に計画的かつ期間終了までに迅速な研究費の使用を行う.また,遺伝子解析なども計画的におこない成果の迅速な公表に結びつけたい.
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