2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K07209
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小島 久弥 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (70400009)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ヒ素 / 微生物 / ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒ素化合物は深刻な被害をもたらす環境汚染物質であり、微生物の作用によって移動性や毒性といった性質が変わる。微生物によるヒ素の変換の中でも、「無酸素条件下での酸化」は、その潜在的な重要性は示唆されているが実態についてはほとんど明らかとなっていない。本研究は、この過程を担う嫌気性ヒ素酸化細菌を環境中から直接網羅的に検出するためのツールを開発し、その多様性と環境中での分布を明らかにすることを目的としている。嫌気性ヒ素酸化細菌を選択的に検出するためのマーカーとして有力視されているarxA遺伝子を対象に、以下の研究を行った。前年度までに設計した特異的プライマーを用いて環境試料の解析を行った。既知のものとは系統的に明確に異なるarxA遺伝子が検出され、この遺伝子の多様性は従来考えられていたよりも高く、これまで知られていたものは特定の環境に適応した一部のものでしかないことが示唆された。一方で、arxA遺伝子を保持する微生物の多くが硫黄酸化細菌であることに着目し、新規硫黄酸化細菌の探索とそのゲノム解析を行った。その結果、ゲノム上にarxA遺伝子を有する微生物を複数発見した。今後、これらの遺伝子の実際の機能を検証する予定である。また、これまでの研究成果により、数多くの新たなarxA遺伝子配列を得ることができた。同じ期間に公共データベース上で入手可能となった配列も利用し、より多くの嫌気性ヒ素酸化細菌を検出できるツールを開発する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規微生物の探索、PCRプライマー設計の双方で進展がみられているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
おおよそ当初の計画通りに進展しているので、このまま予定に沿って研究を進める。
|
Causes of Carryover |
およそ計画通りに執行したが、少額が端数として残った。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
少額であり、計画の大勢には影響しないので、予定通りに使用する。
|
Research Products
(4 results)