2016 Fiscal Year Research-status Report
細菌群集の機能遺伝子組成の環境に依存した収斂現象の解明
Project/Area Number |
15K07214
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
森 宙史 国立遺伝学研究所, 生命情報研究センター, 助教 (40610837)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | メタゲノム / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度に開発した、メタ16Sとメタゲノム配列データの解析パイプラインを用いて、遺伝研スーパコンピュータ上で公共のメタ16S・メタゲノムデータについて解析を行い、メタ16S・メタゲノムサンプル由来の約6万サンプルの系統組成と、メタゲノムサンプル由来の約4千サンプルの遺伝子機能組成を得ることができた。それらのサンプルの生息環境のアノテーション付けについては、別プロジェクトで開発している微生物の生息環境オントロジーMEOを用いて、研究協力者と共にアノテーション付けをサンプルごとに行った。 得られた各サンプルの系統組成データと遺伝子機能組成データを比較解析して、収斂現象が観察されるサンプルを抽出するために、ほとんどのサンプルで存在量が普遍的に多い必須遺伝子を平均存在量やサンプル間の変動係数等の統計量を基に特定して除外し、また一部のメタトランスクリプトームデータのように遺伝子機能組成が極端に偏っているサンプルを除外した。その後、遺伝子機能組成及び系統組成それぞれで相関解析等の解析を行い、両結果を統合した上で、解析結果の統計量から収斂現象が起こっていそうなサンプルペアを抽出した。 抽出したそれらのサンプルペアごとに、メタゲノム解析の精度を高めるためにサンプルごとに配列を再アセンブルした後再度遺伝子機能組成を推定し、可能であればメタゲノムからのドラフトゲノム構築やメタゲノムからのほぼ完全長の16S rRNA遺伝子配列の再構築等の、収斂現象が起こっていると言えるサンプルペアを確定するための詳細な比較メタゲノム解析を現在行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度の中旬に研究代表者が東京工業大学から国立遺伝学研究所に異動したため、計算機環境の変更等によって、一ヶ月弱解析を行えない時期があったため、研究計画にやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
抽出した収斂現象が起こっていそうなサンプルペアの高精度な比較メタゲノム解析を急ぎ行い、どのような環境で、どのような機能遺伝子について、収斂現象が起こっているのかを詳細に明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究代表者が年度の中旬に東京工業大学から国立遺伝学研究所へと異動した関係で、使用できる計算機環境および実験室環境の変更等があったため、研究の進捗が遅れ、予定していた国際学会での発表申し込みに間に合わず、国際学会への出張を1回分取りやめた。また、研究環境が大きく変わったため、購入を予定していた物品についても、異動前後で使える機器が違う等の問題により年度内の購入を取りやめたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
異動先の国立遺伝学研究所での研究環境が整ったため、物品の購入を進め、研究成果の国際学会での発表と論文発表を急ぐ。
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