2015 Fiscal Year Research-status Report
性特異的マーカーの伝達に着目した雄性両全性異株性の維持機構
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15K07217
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
三宅 崇 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (00380569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧 雅之 東北大学, 学術資源研究公開センター, 教授 (60263985)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 性表現 / 性決定システム / RAD-Seq / 性連鎖マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代シーケンサーのRAD-seq(Hi-seq2000)を用いて、ミヤマニガウリの野生個体(岐阜、福井、新潟で採集したオス29個体、両性30個体)のSNPsの情報を解析した。合計129,464,533リード、1個体あたりの平均で2,194,314リードの塩基配列データが得られた。総RAD-seqは6,602,691,183bpで1個体あたりの平均は111,910,020bpであった。1塩基あたりの読み取り回数は平均35.86回であった。総contigs 数は1,019,471、そのうち323,449のcontigでSNPsデータが得られた。アダプター配列とクオリティの低いリードを除去したのち、Stacks解析に用いられたのは、Hi-seq2000によって得られたリードの約31%にあたる合計36,013,440リードで、1個体あたりの平均は610,397リードであった。stacks処理により、用いられたリードは286,682のcontigsにまとめられ、そのcontigs中に23,962のSNPsが得られた。 これをcontigごとにヘテロ接合とホモ接合としてカウントし、両性個体とオス個体で比率が有意に異なるものをカイ二乗検定で判別したところ、8つの候補が得られた。さらに、データを詳細に検討した結果、ID10116という座位で明瞭な結果が得られた。この座位にはAまたはGの塩基を持つSNPがあり、両性個体はすべてGのホモ接合、雄個体では8割がGとAのヘテロ接合で残りの2割がGのホモ接合であった。 この結果は次年度以降の解析に用いることのできる性特異的マーカーであり、さらにミヤマニガウリの性決定システムが、オスヘテロであることを強く示唆しているものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
性特異的マーカーの開発は概ね予定通りに進んだ。次年度の予定を踏まえ、少し前倒しでマイクロサテライトマーカーの開発にも着手したが、これはいくつかの不備が重なり昨年度中に結果を得ることはできなかった。これに関しては、問題点をクリアして次年度前半にはマーカーを作成し、多型解析を行いたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り進められている。すでに次世代シーケンサRoche GS Juniorを用いてマイクロサテライト領域を検出することで、マイクロサテライトマーカー開発を進めつつある。また、葯内花粉における性決定遺伝子の伝達比の解析を行うための予備実験を始めており、これも予定通り解析可能である。本年度に関しては、次世代シーケンサでの結果を得るまでは研究分担者、データの解析および多型検出は研究代表者が進め、葯内花粉における性決定遺伝子の伝達比の解析は研究代表者および指導学生により進める予定である。
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Causes of Carryover |
研究分担者の分担部分であった解析を予備的に開始したが、試薬の在庫不足のために進まなかった。そのため、結果を議論するための研究打ち合わせ出張を見合わせた。また、隣接する福井県で新たに野外集団を見つけることができたので、新潟などの遠方での採集をする必要がなかった。これらの理由により、旅費が予定したほどかからなかった。また卒業研究生が研究内容の一部に従事したため、謝金・人件費が予定したほどかからなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、研究分担者の解析結果を踏まえ、研究打ち合わせの出張を予定している。また、花粉からのPCRやマイクロサテライト解析に関して条件設定が必要であり、また、新たに栽培を行うために、これらに関わる消耗品を必要とする。また、岐阜と福井だけでは集団数が限られるので、近隣の長野に加え、新潟、東北地方、北海道地方の野生集団を探索調査することを検討している。
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