2015 Fiscal Year Research-status Report
空間構造の下での利他行動と資源競争の進化に関する理論的研究
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15K07219
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
山内 淳 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (40270904)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 利他行動 / 進化 / 空間構造 / 生態-進化フィードバック / 理論 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、二次元空間上での利他行動の進化をシミュレートするための基盤となるプログラムの作成を進めた。本年度の研究予算からの支出により、そのシミュレーションプログラムを作成・実行するためのコンピュータを購入し計算環境を整えた。また海外の研究者を訪問し、当研究課題を遂行するための情報収集を行った。それらの準備を踏まえ、各個体を明示的に記述する個体ベースモデルを用いたプログラムを作成し、シミュレーションによってモデルの理論的解析を進めている。プログラムの作成にはC言語と数式処理アプリケーションであるMathematicaを用い、複数のシミュレーションを様々なパラメータの下で並列的に実行するプログラムを作成することで効率的な解析を実現している。
現時点までの解析によって、資源収奪能力と利他行動がともに進化する状況で、利他行動の進化が大きく促進されうることが明らかになりつつある。特に、環境中の資源が潤沢であり、また資源を巡る競争傾向が強い環境で、利他行動の進化がより促進される傾向が示されつつある。本システムにおいては、個体の分布パターンの空間構造が、利他行動の進化に大きく関わっているようである。資源収奪と利他行動の進化ダイナミクスと、個体の空間分布の間の生態-進化フィードバックが、利他行動の進化を駆動していると考えられる。これまで成果は、国際学会や国際ワークショップにおいて発表されている。
今後、システムの挙動のパラメータ依存性を中心に、進化ダイナミクスの特性に関する詳細な解析を進める計画である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は計画通り順調に進展している。現時点までの研究内容を国際学会および国際ワークショップで発表しており、また本研究課題と関連する研究内容を、当該年度中に３報の論文として発表している。
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| Strategy for Future Research Activity |
二次元空間上での利他行動の進化ダイナミクスについてさらに解析を進め、そのパラメータ依存性などについてより詳細に調べる計画である。本研究課題では、基礎出産力、利他行動カーネル、資源収奪カーネル、資源収奪における競争の強度など、様々なパラメータに注目しているが、進化ダイナミクスにおいてはそれらが複雑に相互作用しながら生態-進化フィードバックを駆動していると考えられる。前年度に作成したコンピュータプログラムを用いて、多様なパラメータを変化させながら進化シミュレーションを網羅的に行うことで、利他行動が進化する条件を明らかにする計画である。
また、それらの成果を国際学会などで発信する一方で、学術論文としての取りまとめを開始する予定である。
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| Causes of Carryover |
当初、2016年分の学会参加費とそのための海外渡航費の事前支払い、および予期しない論文掲載料のため、計画より支出が増大すると予測して30万円の前倒し請求を行った。しかしながら支払いの関係上、それらの経費の一部を2016年度に支出することとなり、20万円あまりの残額が出た。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度中の支払いを想定していた2016年分の学会参加費と海外渡航費を、2016年度に支払うために使用する。
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Research Products
(8 results)
