2017 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical study of joint evolution of altruism and resource explitation in spatially structured population
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15K07219
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山内 淳 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (40270904)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 利他行動の進化 / 資源競争 / 空間構造 / 個体群動態 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、当該研究のこれまでの成果を取りまとめて理論生物学の国際学術誌に発表した (Journal of Thoretial Biology, 441:58-67)。本研究の取り組みにより、二次元空間上における利他行動の進化について、今までに明らかにされてこなかった新しい特性が解明された。まず、個体間のネガティブな相互作用である資源をめぐる競争が、ポジティブな相互作用である利他行動の進化を促進する可能性があることが示された。その際には、資源競争の影響がおよぶ距離が、利他行動の影響がおよぶ距離よりも広範囲であることが必要であった。また、利他行動のレベルが高まる場合には、空間上の個体の分布がクラスターを形成し、それらが規則正しく配置されたパターン作ることが示された。この個体分布のクラスター構造が、コストを伴う利他行動の進化を可能にする条件の一つである、階層性のある自然淘汰の作用をもたらす要因となることが明らかになった。 本年度には、当該研究費によりイギリス・ブリストル大学のJohn McNamara名誉教授を招へいし、韓国の済州島で開催された国際生態モデリング学会において、ゲーム理論に関するシンポジウムをオーガナイズした。そこには国際的に活躍する理論研究者らが講演者および聴衆として参加して、協力の進化に関して活発な議論が行われた。 また本年度には、異なる種の間での形質の類似が利益をもたらすような種間の相利共生において、形質のバラツキの進化が相利共生の成立過程にどのような影響をおよぼすのかについても理論的な研究を進め、その成果を国際学術誌に発表した (Theoretical Ecology, 10:477-491)。本研究では、2種の間の相利共生関係の成立は、共生に関わる形質のバラツキの減少をともないつつ進行する傾向があるという、2種の共進化動態の特性を明らかにした。
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Research Products
(7 results)