2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K07234
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Research Institution | 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(新領域融合研究センター及びライフサイエンス統合データベースセンター) |
Principal Investigator |
植竹 淳 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(新領域融合研究センター及びライフサイ, 新領域融合研究センター, 特任研究員 (40455473)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 微生物生態系 / 熱帯 / 氷河 / 環境変動 / 遺伝子多様性 / 絶滅危惧 |
Outline of Annual Research Achievements |
ケニア山の氷河に生息している微生物の多様性や氷河生態系の現状を把握するため、2015年9月にケニア山のルイス氷河を訪問し、氷河の氷と氷河後退域土壌のサンプル採取を行った。採取したサンプルの次世代シーケンサーを用いた16S rRNA遺伝子(V3―V4領域)の分析の結果、緯度、高度が類似しているウガンダのルウェンゾリ山の氷河での先行研究と比較して、バクテリアの群集構造が極めて異なり、ウガンダではほとんど検出されなかったシアノバクテリアが多数検出された。これらの種は、北極や中国などでクリオコナイト粒を形成することで知られているPhormidium属に近縁な種であったが、これまでに知られているクリオコナイト形成種とは異なる遺伝型であることがわかった。 これらのことから、地理的条件が類似している、熱帯の氷河の微生物生態系が、ローカルな環境要因によって変化し得ることが示された。また菌類とバクテリアの培養を行い、そのうち2種は16S rRNA遺伝子(全長)氷河上に生息していると考えられる好冷性のバクテリアであることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画で予定していたすべての項目:①遺伝子解析による微生物群集構造の解析、②イオン濃度の測定、③培養株の採取とその同定を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画の予定の通りに再度現地を訪問し、サンプルを採取する。特に氷河の上部と下部では、微生物群集構造に違いが見られたことから、氷河上における微生物群集の地理的分布とその環境要因からの影響に着目し、より多くの地点からサンプルを採取し同様の分析を実施する。 本年度は限られた温度での培養しか実施できなかったため、様々なバリエーションの培養条件で培養し、より多くの種類の培養株を単離し、その遺伝的特性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
より多くの地点からサンプルを採取し今年度と同様の分析を実施するため、関連する消耗品を購入する必要があるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度採取予定のサンプルから、遺伝子を抽出するための試薬を購入する。
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Research Products
(3 results)