2017 Fiscal Year Annual Research Report
Regional differences in the skull of the Edo period - Morphology, syphilis, and trauma
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15K07242
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
坂上 和弘 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究主幹 (70333789)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 江戸時代人 / 頭骨 / 貴族形質 / 地理的多様性 / 損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は関西地方を中心とした西日本の遺跡から出土した江戸時代人頭骨のデータを採取した。これまで採取した江戸府内以外の地域で出土した資料は男性90体、女性50体となった。また、比較資料として中世人骨は男性35体、女性25体になった。 これらのデータセットを用いて解析をおこなったところ、1)江戸時代の計測可能な頭骨形態には、男性では地方性が認められるが、女性では明瞭な地域差は認められない、2)江戸府内以外から出土した頭骨にも、『武家的特徴』を持つ個体は認められ、それらの個体で埋葬様式が明らかな場合は甕棺で埋葬されていた、3)地域差よりも「身分差」の方が明瞭である傾向にある、4)中世から現代までの頭骨形態は、男女とも時代変化の傾向が明瞭で、共に「武家的特徴」への変化と見なすことができる、5)頭蓋小変異に関しては明瞭な地域差が認められなかった、6)江戸府内以外の頭骨では、受傷痕跡が認められるものは極めて少ない、7)江戸府内以外の頭骨では、明らかな梅毒の痕跡が認められるものも少ない。、などが明らかとなった。 これらの結果は2編の論文にまとめ、現在投稿中である。
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