2015 Fiscal Year Research-status Report
把握運動における道具有無の観点からみた利き手の機能的潜在性
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15K07244
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
青木 朋子 熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (50433412)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 利き手 / 把握運動 / 左右差 |
Outline of Annual Research Achievements |
健常な右利き若年者10名を対象に、道具(箸)あるいは指によって、物体(2×2×2cm)を把握し、正面にあるターゲットまで移動させる課題を右手と左手それぞれで実施した。3次元モーション計測システムを用いて、課題時の物体及び被験者の母指指先、示指指先の動きを3次元解析した。5台のカメラによって、母指と示指、物体の動きを測定した場合、一部のマーカーが追従できない場合があることが判明したため、そうしたデータを補う目的で物体には3軸フォースセンサーを配備した。その結果、指あるいは箸が接触してから物体がターゲットに置かれるまでの時間は、箸を使った場合の方が指の場合に比べて有意に遅いことがわかった。また、指での物体把握では、利き手である右手よりもむしろ非利き手である左手の方が早い傾向が見られたが、箸による把握では、利き手である右手の方が非利き手の左手に比べて有意に所要時間が短いことが明らかとなった。次に、物体移動中の母指指先、示指指先、把握物体のピーク速度は、いずれも箸の場合が指に比べて速い傾向が見られたが、有意差が認められたのは、母指指先の左手のみであった。また、母指指先、示指指先ともに、指での把握と箸での把握の両方で利き手である右手が非利き手の左手に比べて速い傾向が見られたが、有意差が認められたのは箸による把握時の母指のみだった。本研究から、仮説通り、道具を用いた把握運動の方が道具なしの把握運動に比べて、運動にかかる時間や速度における左右差が顕著であることがわかったが、5台のカメラでは、物体あるいは指のマーカーが隠れてしまう場合があり、限られた指標のみしか検証できなかった。今後は、さらにカメラの台数を増やし、より詳細な測定を行うことが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
10名の被験者を対象に、3次元モーション計測システムを用いて、運動課題時の物体及び被験者の母指指先、示指指先の動きを3次元解析し、利き手と非利き手、道具ありとなしの違いについて調べた。その結果、当初の仮説を支持する傾向がみられた。しかしながら、5台のカメラでは、物体あるいは指のマーカーが隠れてしまう場合があり、限られた指標のみしか検証できなかった。そのため、今後、カメラの台数を増やし、より詳細な測定を行うことが必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
カメラの台数を増やし、物体や指に取り付けたマーカーが隠れて撮影できない問題を解決する予定である。また、筋電図センサーを購入し、運動課題時の筋活動を調べる予定である。
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Causes of Carryover |
年度末に研究打ち合わせのための国内旅費が必要であり、予算をオーバーしないよう旅費分を多めに見積もったため、その残高が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度の物品費として使用する予定である。
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