2015 Fiscal Year Research-status Report
人工制限酵素CRISPR/Cas9を利用したγアミノ酪酸高蓄積トマトの育種
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15K07253
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
野中 聡子 筑波大学, 生命環境系, 助教 (50580825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松倉 千昭 筑波大学, 生命環境系, 教授 (60361309)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / GABA |
Outline of Annual Research Achievements |
GADはC末端にカルモジュリンバインディングサイトを持ち、カルシウムの結合によりGAD酵素活性を調整することが知られている。本研究では、C末端の切除を目指して、GADの高活性化及びトマトでのGABAの高蓄積を目指している。GABA合成酵素GAD2及びGAD3を標的としたCRISPR/Cas9ベクターを設計及び構築した。GAD2は、C末端側30アミノ酸残基(GAD2ΔC30)または、48アミノ酸残基(GAD2ΔC48)を標的とした。GAD3はC末端側37アミノ酸残基(GAD3ΔC37)を標的とすることとした。ベクターの設計にあたり、これらの部位で切断したGAD酵素活性がネイティブのものより上昇することを大腸菌のタンパク質発現系を用いて確認した。構築したCRIPSR/Cas9ベクターは、アグロバクテリウム法により、形質転換の容易なトマトのモデル品種へ形質転換し、T0世代をそれぞれ11(GAD2ΔC30)、11(GAD2ΔC48)、9個体(GAD3ΔC37)得た。標的部位の切断をCAPS解析及びシーケンスにより確認した。変異導入が確認できた個体が各系統GAD2ΔC30で9個体(変異導入率81.8%)、GAD2ΔC48で4個体(変異導入率36.3%)、GAD3ΔC37で9個体得られた(変異導入率100%)。標的部位により、変異導入効率が異なる可能性があることが示された。導入変異により、 フレームシフトが起こりC末端側の標的部位にSTOPが挿入されているかを確認する。T0の果実についてはサンプリングずみであり、得られた導入個体がGABA高蓄積しているか確認するために、今後GABA含量を測定する予定である。T0世代で得られた変異が生殖細胞に導入された変異なのか、体細胞のみに導入された変異なのかを確認するために、T1世代で遺伝解析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GAD変異体作成及びGABA-T変異体作成のためのベクター構築を取り組むことにしていた。GADについては、GAD2及びGAD3を標的としたCRISPR/Cas9ベクターを設計及び構築した。GAD2は、C末端側30アミノ酸残基(GAD2ΔC30)または、48アミノ酸残基(GAD2ΔC48)を標的とした。GAD3はC末端側37アミノ酸残基(GAD3ΔC37)を標的とすることとした。ベクターの設計にあたり、これらの部位で切断したGAD酵素活性がネイティブのものより上昇することを大腸菌のタンパク質発現系を用いて確認した。構築したCRIPSR/Cas9ベクターは、アグロバクテリウム法により、形質転換の容易なトマトのモデル品種へ形質転換し、T0世代をそれぞれ11(GAD2ΔC30)、11(GAD2ΔC48)、9個体(GAD3ΔC37)得た。標的部位の切断をCAPS解析及びシーケンスにより確認した。変異導入が確認できた個体が各系統GAD2ΔC30で9個体(変異導入率81.8%)、GAD2ΔC48で4個体(変異導入率36.3%)、GAD3ΔC37で9個体得られた(変異導入率100%)。当初計画より進んでいるといえる。当初計画ではGABA-Tもベクター構築まで進める予定であったが、所属研究室の変異体集団を用いた研究において、GABA-Tのみに変異を入れた場合には、個体の矮化及び成長異常が起きることが示された。GABAの代謝はGABA-TおよびSSADHにより行われておりシロイヌナズナを用いた先行研究では2つの遺伝子を潰した変異体において、形態異常を起こさずGABAを高蓄積することが報告されている。トマトにおいても同様な変異体を作出することを計画するなど、もう少し周辺情報を整理し当初計画を修正しつつ次年度以降にベクターの設計を行なっていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
GADへの変異導入は次年度も当初計画通りにT1個体での遺伝的解析及び表現型解析を行っていく。GABA-Tへの変異導入については、GABA-Tをノックアウトする戦略では、植物個体の矮化が起こることが予測される。シロイヌナズナの先行研究においては、GABA-T及びSSADHの二重変異体では矮化をともなわないGABA高蓄積系統が得られているとの報告があるので、トマトにおいても同様の戦略を立てたいと考えている。
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Causes of Carryover |
旅費について、参加した学会が東京近郊であり、宿泊費及び交通費が当初計画より抑えられた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度余った旅費について、次年度消耗品及びアミノ酸分析を委託する依託費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)