2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidating the molecular mechanism of cadmium tolerance in wild rice
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15K07260
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
赤木 宏守 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (50315587)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イネ / 野生種 / カドミウム |
Outline of Annual Research Achievements |
イネ属の野生種は、世界各地の様々な環境に適応して自生しており、有害重金属であるカドミウムに特徴的な適応性を有する可能性が考えられる。イネ属の遺伝変異を広くカバーする系統群を用いてカドミウム耐性を解析した結果、西アフリカおよび南米に自生するO. barthiiとO. latifoliaの中に、カドミウム耐性が高いと考えられる系統が存在することが明らかにがなった。 カドミウム耐性が高いと考えられたO. barthiiとO. latifoliaの系統について、RNAseqによってカドミウム耐性に関わると考えられる遺伝子を網羅的に解析した。O. barthiiの地下部では、解毒やストレス応答、代謝に関係するタンパク質をコードする遺伝子の発現量がカドミウムによって著しく増加しており、カドミウムによって生じる有害物質の解毒作用を高めることでカドミウムによる障害を軽減していることが示唆された。 一方、O. latifoliaのカドミウム耐性系統で特異的に発現していた遺伝子、また、カドミウムによって発現が高まっていた遺伝子は、細胞壁に局在するタンパク質(PeroxidaseやGlycine Rich Protein)をコードしていた。このことから、O. latifoliaでは、細胞壁がカドミウム耐性を高める役割を担っている可能性が示唆された。 O. barthiiで同定した還元酵素の一つ、2-Alkenal reductaseをコードする遺伝子をモデル植物のシロイヌナズナで高発現させたところ、シロイヌナズナのカドミウム耐性が向上することが明らかになった。この酵素は活性酸素を介して産生される有害物質を分解する作用を有すると考えられることから、活性酸素を介した有害物質の生成がカドミウムによる成長抑制の一因となっており、その分解によってカドミウムによる成長抑制が緩和されたものと考えられた。
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Research Products
(1 results)