2016 Fiscal Year Research-status Report
水稲玄米の登熟過程における貯蔵タンパク質蓄積に関する遺伝的制御機構の解明
Project/Area Number |
15K07267
|
Research Institution | Fukuoka Agricultural and Forestry Research Center |
Principal Investigator |
和田 卓也 福岡県農林業総合試験場, 生産環境部, 専門研究員 (90502435)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊丸 敏博 九州大学, 農学研究院, 教授 (00284555)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 水稲 / 種子 / タンパク質 / QTL |
Outline of Annual Research Achievements |
「森多早生」×「コシヒカリ」の組み合わせから養成されたRI系統を用いて見いだされた米タンパク質含有率に関するQTL(qPC2)について、戻し交配で育成した準同質遺伝子系統(NIL)を用いて実証を行うとともに、ファインマッピングおよび発現解析を行った。 1)QTL効果実証:両親品種およびNILを標準栽培した結果、25、27年と同様に森多早生に比較してNIL2系統においてはタンパク質含有率が顕著に低下した。NILと「森多早生」を比較すると、千粒重は差が認められなかったが、単位面積あたり収量はNILのほうが25%程度多かった。 2)ファインマッピング:F2集団からqPC2周辺領域で組み換えの生じた個体を選抜し、タンパク質含有率を調査したところ、上流側にコシヒカリ断片を保持している個体のタンパク質含有率が相対的に低下する傾向にあった。 3)遺伝子発現解析:マイクロアレイ解析で全45,152遺伝子中、7.0~14.0%の遺伝子に発現変動が認められた。NILではコシヒカリに比較して発現変動している遺伝子が少なく、また両品種ともに胚乳の登熟後期に発現変動遺伝子数は低下した。QTL近傍で顕著な発現変動を示した遺伝子が、ソース器官(止葉)で9遺伝子、シンク器官(胚乳)で6遺伝子いずれも上流側に認められた。下流側には顕著な発現変動を示した遺伝子は認められなかったことから、マップベースクローニングの結果と併せて考えると、候補遺伝子はQTLの上流側の第2染色体23~25Mb付近に存在すると推定された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
準同室遺伝子系統(NIL)を用いて、QTLの効果は複数年にわたって実証できている。またQTL候補領域は約2Mbの領域内に絞り込めており、マイクロアレイを用いた発現解析で候補遺伝子も複数明らかになっており、遺伝子単離に向けて順調に進んでいるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度選抜した組換えホモ個体を系統展開して、マップベースクローニングによるQTL領域の絞り込みを実施する。マイクロアレイ解析による発現解析を継続して、候補遺伝子の発現の安定性を評価するとともに、顕著な変動を示した遺伝子については、リアルタイムPCR法による発現解析も実施する。
|
Causes of Carryover |
平成28年度に予定していた本研究課題に関する論文投稿を29年度に実施することとなったことから、英文校閲料、投稿料分に相当する残額が生じたもの。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記のとおり本課題に関する論文を投稿することから、計画的に使用予定である。
|