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2016 Fiscal Year Research-status Report

イネ茎葉部におけるデンプン分解制御に関わる遺伝子の機能およびその品種間差異の解明

Research Project

Project/Area Number 15K07276
Research InstitutionMeijo University

Principal Investigator

平野 達也  名城大学, 農学部, 教授 (30319313)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywordsイネ / デンプン分解 / 葉鞘 / β-アミラーゼ / α-アミラーゼ
Outline of Annual Research Achievements

多収が達成されたインド型品種の「タカナリ」では、出穂期以降の葉鞘におけるデンプン含量の低下が著しく、登熟に対するソース機能が充実していると考えられる。そこで、出穂後の葉鞘におけるデンプン代謝をより詳細に解析するため葉鞘を基部側から先端部にかけて3等分して採取し、それらのデンプン含量の変化とデンプン分解関連酵素遺伝子の発現レベル標準的な日本型品種の「日本晴」と比較した。その結果、タカナリの葉鞘では、特に基部側においてデンプン含量の減少が日本晴よりも著しく生じ、そのときにはα-アミラーゼをコードする遺伝子のひとつであるRAmy2Aの発現レベルが大きく上昇していることが明らかになった。この結果は、葉鞘全体を用いて昨年度までに解析した結果と一致し、葉鞘のデンプン分解におけるRAmy2Aの働きの重要性が示唆される。そのタカナリにおいてRNAiによるRAmy2A発現抑制系統の作出を進め、ベクターの導入が確認済みの10系統あまりのT1系統を育成することができた。
β-アミラーゼ遺伝子の機能解析を進めるために、葉鞘におけるデンプン分解において機能すると考えられるOsBAM2、OsBAM3およびOsBAM5について、それぞれ単独の遺伝子の発現抑制系統に加えて、OsBAM2・OsBAM3の二重発現抑制系統、ならびにOsBAM2・OsBAM3・OsBAM5の三重発現抑制系統の作出を進めてきた。現在、それら対象となる遺伝子のRNAiによる発現抑制効果の検証が終わり、実際に発現抑制が達成されたT2世代の種子を採種済みである。また、OsBAM2・OsBAM5の二重発現抑制系統については、ベクターの導入が確認された数系統のT0世代を育成し、T1種子を採種済みである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

交付申請書に記載した平成28年度の計画では、本年度中にOsBAM2・OsBAM3の二重発現抑制系統、OsBAM2・OsBAM5の二重発現抑制系統ならびにOsBAM2・OsBAM3・OsBAM5の三重発現抑制系統を用いて、それらの出穂後の葉鞘におけるデンプン含量の変化を詳細に解析することを予定していた。しかし、実際には、OsBAM2・OsBAM3の二重発現抑制系統とOsBAM2・OsBAM3・OsBAM5の三重発現抑制系統に関しては、実際に各遺伝子の発現が抑制されたT2世代を獲得することができているが、OsBAM2・OsBAM5の二重発現抑制系統については解析が遅れており、これから実際に対象遺伝子の発現が抑制された系統を選抜し、解析に供することとなる。
また、タカナリを原品種としたRAmy2A遺伝子の発現抑制系統を用いた解析も本年度中に実施する予定であった。しかし、T1世代においてRAmy2Aの発現低下が確認された系統を用いて解析を進めた結果、そのT2世代ではRAmy2Aの発現が十分に抑制されておらず、RNAiの効果が十分に発揮されていないことが判明した。そこで、現在は、他のT1世代の系統を育成し、それらの中で再度RNAiの効果が得られている系統を選抜してから、そのT2世代を用いて表現型解析を実施する。
OsBAM2、OsBAM3およびOsBAM5の発現組織の特異性を解析するために、各遺伝子プロモーターとGUS遺伝子を連結させたベクターを構築し、そのベクターを導入した系統の育成は予定通り完了している。さらに、それらの系統を用いて、各生育段階でGUS発現の組織特異性の解析を進めている段階である。

Strategy for Future Research Activity

OsBAM2・OsBAM3の二重発現抑制系統とOsBAM5の発現抑制系統を生育させ、出穂後の葉鞘におけるデンプン含量の変化と収量構成要素を解析することで、葉鞘で主に発現しているβ-アミラーゼ遺伝子である上記3つの遺伝子の機能を検証する。さらに、OsBAM2・OsBAM3・OsBAM5の三重発現抑制系統も栽培し、同様の解析を進める。OsBAM2、OsBAM3およびOsBAM5の発現に関する組織特異性を明らかにするため、すでに作出済みのプロモーター:GUSコンストラクトを導入した系統により、葉身や葉鞘においてGUS発現部位の解析を行う。また、デンプン代謝に関与する遺伝子の発現は細胞内の糖レベルによって制御される可能性が考えられるので、OsBAM2、OsBAM3およびOsBAM5遺伝子の発現と糖供給との関係を解析する。以上の解析結果から、イネ葉鞘のデンプン分解過程におけるβ-アミラーゼ遺伝子の機能を明らかにする。
α-アミラーゼ遺伝子をコードするRAmy2Aに関するタカナリを原品種としたRNAi誘導系統の中で、実際にRAmy2Aの発現が抑制されている系統を選抜し、その系統を用いて、タカナリの葉鞘での出穂後のデンプン分解におけるRAmy2Aの役割を検証する。また、タカナリと同様に出穂後の茎葉部における非構造性炭水化物含量の低下が著しい「北陸193号」を生育させて、RAmy2Aをはじめとするデンプン分解関連酵素遺伝子の発現レベルを出穂期以降の葉鞘において解析する。以上の解析結果から、超多収が達成されたタカナリや北陸193号における出穂後の葉鞘でのデンプン代謝特性を明らかにする。

  • Research Products

    (3 results)

All 2017 2016

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Two β-amylase genes, OsBAM2 and OsBAM3, are involved in starch remobilization in rice leaf sheaths2016

    • Author(s)
      Tatsuya Hirano, Takayuki Higuchi, Minako Hirano, Yu Sugimura and Hiroyasu Michiyama
    • Journal Title

      Plant Production Science

      Volume: 19 Pages: 291-299

    • DOI

      10.1080/1343943X.2016.1140008

    • Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] イネ葉鞘において出穂期以降のデンプン分解に関与する遺伝子の探索と機能解析2017

    • Author(s)
      平野達也、杉村優有、樋口貴之
    • Organizer
      日本作物学会第243回講演会
    • Place of Presentation
      東京
    • Year and Date
      2017-03-30
    • Invited
  • [Presentation] イネ葉鞘におけるデンプン含量の変化とα-グルカンホスホリラーゼ活性との関係2016

    • Author(s)
      樋口貴之、道山弘康、平野達也
    • Organizer
      日本作物学会第242回講演会
    • Place of Presentation
      大津
    • Year and Date
      2016-09-10 – 2016-09-11

URL: 

Published: 2018-01-16  

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