2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K07277
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
水間 智哉 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 教授 (40555504)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 酒米 / 炊飯米 / 食味 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、本実験計画の期間後半に予定されている食味にすぐれる酒米を選抜するための基礎的データとなる酒米の理化学的特性を解明した。全国各地から良食味米の候補となるさまざまなタイプの酒米品種を取り寄せ、それぞれについて基本的特性(粒の大きさ、形状、品質(等級)、および含有成分(デンプン価、たんぱく質、脂質、カリウム、カルシウム、マンガン、鉄などのミネラル分)と炊飯に関する基礎的特性(ご飯の水分量、糊化度、でん粉の老化耐性など)を解析した。その結果、各酒米品種のみならず各生産地域における酒米の食用米としての基礎的特性を明らかにするとともに、コシヒカリなどの既存の食用米との比較を可能とする成果を得た。明らかになった事柄の一例として、全国から集めた酒米品種は国内に流通する既存の食用米と比較してきわめて各分析項目の分散値が大きくなり、その特性がバラエティに富むことがわかった。このことは、今後、研究が進み官能評価や統計解析により良食味性をもつ酒米を選抜するにあたって有望品種をみつけだす可能性を広げる知見であると考えられる。また、テクスチャロメーターを用いたご飯の物性解析では、酒米において既存の良食味米とは顕著に特性の異なるテクスチャー特性を示していることから食感に特徴を有する酒米品種が選抜できるものと期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では平成27年度において理化学的解析を終了させる予定であったがいまだ一部の項目が完了していない。これは、①平成27年産米の酒米の生育が遅かったために収穫が遅れ、分析試料の入荷に影響した、②酒米の品種間の特性幅が著しく大きかったため当初予定していた炊飯条件が適用できずあらたな条件を設定した、ことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度前半期までに理化学的特性を解明し、以降、官能評価試験へと展開する予定である。また、これらの実験により得られたデータを集計し多変量解析の手法を用いて、理化学的特性と官能評価(おいしさ)との関係を明らかにしていく。本研究課題は、有望品種を選抜し社会へ提案することを目的とする実践的な研究であるため、あわせて酒米の食用米としての適合度を数値化することにも取り組み予定である。
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Causes of Carryover |
酒米試料の入荷が遅れたなどの理由により、本年度予定していた実験計画の一部が未達成となった。そのため、原料米の保管容器、分析器具、試薬の購入が限定的となり執行額が当初予定より少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度未達成であった分析項目、特に炊飯試験に必要な器具、試薬を次年度に購入する予定である。あわせて、次年度は当初予定通り、官能評価や統計解析をスタートするためこれに必要な物品の購入を申請額通りに執行する予定である。
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