2017 Fiscal Year Research-status Report
アケビの後発型自家不和合性機構の解明と果実生産に及ぼす影響
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15K07283
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
平 智 山形大学, 農学部, 教授 (20167480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 大生 山形大学, 農学部, 助教 (30632129)
池田 和生 山形大学, 農学部, 准教授 (80555269)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ミツバアケビ / 後発型自家不和合性 / EST-SSR |
Outline of Annual Research Achievements |
ミツバアケビの栽培においては,自家不和合性に由来する不安定な結実が栽培上大きな問題になっているものの,その詳細はほとんど明らかにされていない。近年、その近縁種であるアケビ種は後発型の自家不和性(late-acting self-incompatibility; LSI)を有することが明らかにされている。本研究では,ミツバアケビの自家不和合性機構に関する基礎的な知見の獲得と,その果実生産に対する影響の評価を目的として、一連の調査を計画している。 本年度は、1)ミツバアケビの主要栽培系統の一つである‘ふじ紫’とこれと交配和合な系統‘秋華’の交雑集団の作出、2)‘ふじ紫’および‘秋華’の花粉を1:3の比率で混合したものを‘ふじ紫’に受粉して得た交雑集団の作出、3)‘ふじ紫’および‘秋華’雌蕊のトランスクリプトーム解析を行い、EST-SSRマーカー候補を設計した. 1)については100個体を、2)については200個体を得ることができ、現在育成をすすめている。3)のトランスクリプトーム解析では,ふじ紫’雌蕊および‘秋華’雌蕊のstrand-specific cDNAライブラリーを作製し,Illumina Nova seq 6000によってそれぞれについて約3000万のペアエンドリードを取得した.一連の配列解析の結果、それぞれの系統について約190000のコンティグが構築でき、そのうち推定遺伝子の配列断片は約75000と予測された。推定遺伝子配列断片について2塩基モチーフおよび3塩基モチーフのSSR配列を検索したところ,約5000の候補配列を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までの達成目標として(a)アケビ6栽培系統の総当たり交配、(b)混合花粉受粉・追受粉に関する試験および(c)受粉雌ずいにおける花粉管伸長観察、(d) 交雑後代集団の作出の4項目をあげていた.昨年度までに(a)および(b)については当初の目標を達成していたが、本年度は(b)について更に研究を進めるべく、混合受粉後代の作出とSSRマーカーの開発を行うとともに、(d)についても達成することができた。一方で(c)受粉雌ずいにおける花粉管伸長観察については、利用可能な植物材料の量の観点から本年は実施を見送ることにした。このような各課題の進捗状況を総合した結果,「おおむね順調に進展」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まだ十分に結果が得られていない調査(c)を中心に研究を展開するとともに、調査(b)に関わる発展的研究として、作出したSSRマーカーを利用した混合受粉後代の花粉親推定を行う.また、研究成果のとりまとめに着手する。
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Causes of Carryover |
値引などに基づく端数が積み重なったため、917円の未使用額が生じた。 この917円は、次年度にビニールテープなど調査に必要な消耗品の購入にあてる予定である。
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