2015 Fiscal Year Research-status Report
キュウリの性分化時の雄しべ原基の退化に関与する細胞周期関連遺伝子群の網羅的解析
Project/Area Number |
15K07292
|
Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
山崎 聖司 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (30363295)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | キュウリ / 性分化 / 細胞周期関連遺伝子 / サイクリン / サイクリン依存性キナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
シロイヌナズナでは,サイクリン(Cyclin)様遺伝子がゲノム上に約50種類存在することが知られている。そのため,キュウリでも同等数以上の遺伝子が存在する可能性が考えられる。そこで,キュウリゲノムのデータベース(DB)において,Cyclin, サイクリン依存性キナーゼ(CDKs), それ以外の細胞周期関連遺伝子群の探索を行ない,cDNAの塩基配列の抽出を行なった。そして,250~400bpの遺伝子断片をクローニングするためのプライマー設計を行なった。
雌花において雄しべ原基が退化(発育抑制)する際に,細胞周期が促進されることを細胞レベルで検証するために,性分化直後の雄花の蕾における花弁と雄しべ,性分化直後の雌花の蕾における花弁と発育抑制された雄しべにおける表皮細胞数を解析した。その結果,雄花の蕾における花弁と雄しべ,雌花の蕾における花弁に比べて,雌花の蕾における発育抑制された雄しべでは,表皮細胞数が有意に多い(P < 0.01)ことが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた計画に沿って,順調に研究(キュウリゲノムのデータベース(DB)からの細胞周期関連遺伝子群の抽出,および,雌花の雄しべ原基における細胞数の解析)が進んでいるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
抽出した細胞周期関連遺伝子群の品種、器官(茎頂、根、茎、葉、花)、花器官 [がく、花弁、雄しべ(原基の痕跡)、雌しべ(原基の痕跡)] 、花の発育ステージ(性決定前、性決定直後、蕾長1cm、2cm、開花直前)における発現特性を明らかにする。 構築した遺伝制御モデルは、キュウリの花の雌性化時に、エチレンシグナルがMタンパク質を刺激した後、Mタンパク質(CS-ACS2)由来のエチレンにより、雄しべ原基が退化することを示した初めてのモデルである。このモデルから、「エチレンシグナルがMタンパク質を刺激した後、Mタンパク質由来のエチレンが細胞分裂を促進し、その結果PCDを引き起こし、雄しべ原基を退化させる」という仮説が導き出される。この仮説が正しければ、M遺伝子をもつ品種に対してエチレン阻害剤を処理すると雄花だけではなく、両性花が誘導されるはずである。また、m遺伝子をホモにもつ品種に対して、エチレンを処理すると両性花だけではなく、雌花が誘導されるはずである。この仮説を生理レベルで検証するために、エチレンまたはエチレン阻害剤処理後の花の性表現の変化を解析する。
|