2016 Fiscal Year Research-status Report
次世代シーケンサーによるビワ連鎖地図の構築と果実形質等を選抜できるマーカーの獲得
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15K07293
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
福田 伸二 佐賀大学, 農学部, 講師 (70503770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永野 幸生 佐賀大学, 総合分析実験センター, 准教授 (00263038)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ビワ / 連鎖地図 / QTL解析 / 熟期 |
Outline of Annual Research Achievements |
RAD-seqの結果,1,427個のSNPマーカーを得た.このSNPマーカーとSSRマーカーの遺伝子型データを供試して解析した結果,合計966個 (SNPs:795,SSRs:170,その他:1) のマーカーが座乗する17連鎖群で全長1724.8 cMの高密度連鎖地図を構築することが出来た.各連鎖群の長さは63.7~156.0 (cM/群) の範囲にあり,平均のマーカー密度は1.79 (cM/loci) の高密度であった.作製した連鎖地図の各マーカーの位置情報に基づき,SNPマーカーの塩基配列とリンゴゲノムを比較した結果,大部分のSNPマーカーはリンゴゲノムの位置情報と対応していることが明らかとなり,タイワンビワにはリンゴゲノムとの共通配列が高度に保存されていることが示唆された.さらに,一部分の連鎖群については,リンゴ-ナシ間の関係と異なり,ビワ独自の関係性を示した. QTL解析の結果,出蕾期のQTLはLoAにおいて検出された.近傍マーカーは,SNP6538であった.また,開花盛期のQTLはLoA及びLoCにおいて検出された.近傍マーカーは,LoAにおいてはSNP 6538であり,LoCにおいてはSNP12773であった.収穫日のQTLは LoA+LoD及びLoBにおいて検出された.近傍マーカーは,LoA+LoDにおいてはSNP15065であり,LoBにおいてはSNP2349であった.ビワ連鎖群のLoC中部から下部はリンゴの第15染色体と高い相同性を示し,その第A連鎖群下部にはリンゴ‘あかね’の開花期のQTLが存在する.同様に,LoB中部から下部はナシの第A連鎖群上部と高い相同性を示し,その連鎖群にはナシ‘太白’の収穫期のQTLが存在することから,バラ科果樹間での主要形質のQTL領域の関連性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は解析集団のゲノムDNAよりRAD-seqを行い,1,427個のSNPマーカーを得,合計966個 (SNPs:795,SSRs:170,その他:1) のマーカーが座乗する17連鎖群で全長1724.8 cMの高密度連鎖地図を構築することに成功した.さらに、その連鎖地図と集団における形質調査の結果から,出蕾期のQTLはLo12,開花盛期のQTLはLo12及びLoCにおいて検出している.また,収穫日のQTLは LoA+LoD及びLoBにあることを発見した. これらの研究進捗状況は予定通りであり、このプロジェクトは順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き以下の調査を実施し、信頼性の高いデータを積み重ねてQTL解析を行う。 1.果実形質に関する遺伝解析 果実形質(果実の大きさ、糖度、酸度、熟期、果肉色)や花の開花時期の調査を行う。また、糖については、全糖含量のみならず、糖組成についても調査する。 2.ビワナシマルカイガラムシの虫害抵抗性の遺伝解析 集団における虫害発生程度を調査し、新規QTLの獲得を目指す。
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Causes of Carryover |
本年度は次世代シーケンサーによる解析(2回目)を行い、SNPマーカーを取得する予定であったが、1回目の解析で十分量のSNPマーカーを取得することに成功しているので行わないこととした。そのために次年度使用額が生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1.果実形質に関する遺伝解析 果実形質(果実の大きさ、糖度、酸度、熟期、果肉色)や花の開花時期の調査を行う。また、糖については、全糖含量のみならず、糖組成についても調査し、QTL領域を特定する。2.交雑系統の親をHiSeqで解読し、ビワ参照配列にマッピングする。3.ビワナシマルカイガラムシの虫害抵抗性の遺伝解析 集団における虫害発生程度を調査し、新規QTLの獲得を目指す。 以上の事を行い、研究を推進させる。
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Research Products
(1 results)