2017 Fiscal Year Annual Research Report
Studying the scientific bases of companion planting as a plant-to-plant signaling.
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15K07294
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
吉田 理一郎 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (70301786)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 植物間相互作用 / シグナル伝達 / 傷害応答 / 植物ホルモン / 揮発性シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにバジル葉由来の精油(essential oil: EO)がトマトの傷害応答性遺伝子PI2の発現に対してプライミング効果を誘導することを明らかにしてきた。最終年度では、バジルEOによりトマト植物体において実際に植食性昆虫による食害抵抗性が付与されるか否かをハスモンヨトウ幼虫を用いて検討した。評価は、対照区およびバジルEO区の葉を3齢幼虫に与えた後に成長した幼虫の重量で行ったが、バジルEO区では対照区の約60%の重量に留まることが確認された。また、バジルEOは幼齢初期(1~3齢)の幼虫に対して明確な殺虫効果を示すことも確認された。バジルEOを構成する各揮発性化合物の中では、カビコールが殺虫効果に関与することが示唆された。 一方、同じシソ科のタイム葉由来のEOを用いて、傷害応答におけるプライミング効果をトマト植物体を用いて検討したところ、PI2の発現が顕著に低下する結果が得られた。そこで、ジャスモン酸(JA)に拮抗して作用するサリチル酸(SA)で誘導されるPR1遺伝子の発現を調査した結果、タイムEOによる顕著なプライミング効果が認められた。SA合成系遺伝子(ICS1, PAL5)についても同様な発現解析を行ったが、明確なプライミング効果は認められなかった。そこで、SAの感受性に変化が生じていると仮定し、SAの濃度依存的なPR1の発現プロファイルを検討した結果、対照区と比較してタイムEOは明らかにSAに対する感受性を高めている可能性が示唆された。タイムEOを構成する数種の揮発性化合物を用いてPR1に対するプライミング効果を検討した結果、チモールがその誘導に大きく寄与すること結果が得られた。また、タイムEOをトマト種子に処理することにより、発芽後に生育した植物体においてPR1遺伝子発現におけるプライミング効果が確認された。
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