2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K07298
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
豊田 正博 兵庫県立大学, 緑環境景観マネジメント研究科, 准教授 (30445051)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 前頭極賦活 / ガーデニング |
Outline of Annual Research Achievements |
【今までの研究実績】FAB(前頭葉機能検査)の3つの課題を用いた研究で,ガーデニングのように繰り返し動作を行う課題(運動計画課題:拳・手刀・平手の動作をくり返す)は,反応選択課題や反応抑制課題に比べて前頭前野(前頭極・前頭前野背外側部)の賦活が大きいこと(Toyodaら,2016)や,ガーデニング課題はFABの運動計画課題より前頭前野の賦活が大きいこと(Toyodaら,2016)を報告した。 【当該年度の研究】ガーデニングを繰り返し行なった場合に前頭極の賦活が維持するのかについて検証した。方法は、高齢者にガーデニング課題(たねまき,かん水)を5回(1回あたり,15秒間「止め」の合図がかかるまで課題を遂行し,その後15秒休みをとる)を行い,前頭極の脳血流(脳血流が多いほど測定部位が賦活していることを示す)を測定した。本研究の結果では,たねまき課題を繰り返し行っても前頭極すべての測定領域で賦活が低下しなかった。このことから,①園芸作業の,目(視覚)と手(体性感覚)から入力される外部情報に注意を向けながら作業をする(外的思考が起きている)という特徴が前頭極内側の賦活と関係していること,②園芸作業中,外部情報に基づく思考(外的思考)の他に,両半球の前頭極外側部では外部情報とは独立した思考(内的思考)が起きていて,それが前頭極(両内側・両外側)の賦活の維持と関係があること,③たねまき課題のように,作業工程数が多いと外的思考と内的思考が多岐にわたって繰り返されるが,このことと右半球前頭極外側部の賦活が関係すること,④たねまき課題のように,作業中に注目すべき対象物の視覚的特徴が変化していくことと左半球前頭極外側部の賦活が関係していること,などが考えられた。ガーデニング作業を続けることは,運動効果だけでなく,継続的に前頭極を含む前頭前野を刺激している可能性があることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ガーデニングの認知症予防効果を高齢者の認知機能への刺激という視点からとらえて、論文発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
第一は、健常高齢者や認知症高齢者がガーデニングを継続的に行ったときの脳の賦活状況や認知機能の変化をまとめる。第二は、健常高齢者がガーデニング課題を数分間連続して行った場合の前頭極の賦活状況を検証する。
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Causes of Carryover |
現在執筆中の論文投稿料の執行分が30年度に繰り越しとなった。
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Research Products
(6 results)