2016 Fiscal Year Research-status Report
オリエンタルハイブリッド起源種の多様性解析およびユリの栽培化に関わる遺伝子の探索
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15K07301
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
半田 高 明治大学, 農学部, 専任教授 (00192708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 真澄 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (40210348)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ユリ / 遺伝的多様性 / 色素合成遺伝子 / 転写調節因子 / SSRマーカー / 多変量解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
オリエンタルハイブリッドの起源であるユリ属Archelirion節植物の内、昨年度までに解析を進めてきたヤマユリ、サクユリ、ササユリ、ヒメサユリ(オトメユリ)についての未調査地域集団と、新たにウケユリとタモトユリも加えて、形態調査とSSRマーカーによるDNA分析を行った。また、オリエンタルハイブリッドについてDNA分析を行った。その結果、各野生種の形態的・遺伝的多様性や地域性がより明らかになると共に、オリエンタルハイブリッド各品種への野生種それぞれの寄与程度が明らかになりつつある。 栽培化に関わる遺伝子の探索では、白い花弁の中央にアントシアニン色素による赤いラインが入るオリエンタルハイブリッドユリ品種ディジーを用いて、このような模様が発生するメカニズムの解明を進めている。昨年度までに次世代シークエンスを用いたRNA-seq解析により、花弁の赤い部分と白い部分で発現量に差のある遺伝子を網羅的に解析し、発現差のあった遺伝子のうち色素の生合成に関わると考えられる遺伝子をピックアップして、それらの発現を詳細に検討した。その結果、アントシアニン生合成遺伝子は全て赤い部分で10倍程度高く、またこれらの生合成遺伝子の発現を制御していると予測される転写因子にも発現差のあることが分かった。品種ディジーに発生する模様は転写調節によって起こっている可能性が高いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オリエンタルハイブリッドの起源であるユリ属Archelirion節植物の多様性解析に関しては、昨年度までで節内の全野生種を扱うことができた。また、オリエンタルハイブリッドについても解析を進めることができた。 栽培化に関わる遺伝子では、オリエンタルハイブリッド品種ディジーの色素合成遺伝子の転写調節により色模様が発生する機構が推定された。
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Strategy for Future Research Activity |
多様性解析に関しては、昨年度までに得られたデータをもとに解析を進めると共に、更に材料やSSRプライマー数を増やすことで精度を上げ、また新たに葉緑体DNAに関するマーカーを用いたハプロタイプを決定し、核と葉緑体の両面から解析をおこなう。 栽培化に関わる遺伝子では、品種ディジーを用いた解析では、昨年度の解析で模様をつくる原因になっていると予測された転写因子の機能解析をすすめる。 以上の結果を総合し、オリエンタルハイブリッドの育種において、我が国固有種がほとんどであるArchelirion節植物の野生集団での形態的・遺伝的多様性とオリエンタルハイブリッド各品種の起源推定を行い、また栽培化において重要な形質である花色の発生機構を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
2017年度前期に調査および材料採取での旅費、ならびに実験に使用する試薬や消耗品の購入に使用するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度5月から7月に実験材料の開花期に旅費を使用して調査と材料採取を行う予定である。 また、2017年度当初よりDNA分析に使用する試薬や消耗品を購入予定である。
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Research Products
(6 results)