2017 Fiscal Year Research-status Report
オリエンタルハイブリッド起源種の多様性解析およびユリの栽培化に関わる遺伝子の探索
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15K07301
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
半田 高 明治大学, 農学部, 専任教授 (00192708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 真澄 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (40210348)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ユリ / 遺伝的多様性 / SSRマーカー / 多変量解析 / アントシアニン / 転写調節因子 / MYB |
Outline of Annual Research Achievements |
オリエンタルハイブリッドユリの起源であるユリ属Archelirion節植物のヤマユリ,サクユリ,ササユリ,ヒメサユリ,カノコユリ,タモトユリ,ウケユリについて各種の自生地集団(一部ex situ保存個体)において,形態調査とDNA分析試料の採取とSSRマーカーを用いた解析を行った。SSRマーカーは既知の核DNAのSSRプライマー以外に、新たに葉緑体DNAのSSRプライマーをデータベース情報から構築した。その結果,各野生種の形態的・遺伝的多様性,種間の類縁関係,各集団の遺伝構造などが明らかとなった。また,各野生種各地域集団とオリエンタルハイブリッド品種群との関係性も明らかになりつつある。 栽培化に関わる遺伝子の探索では,花の色模様における部位特異的な色素の蓄積がどのように起こるのかを明らかにするため,オリエンタルハイブリッド品種‘Dizzy’の花弁中肋の赤筋について解析を進めた。次世代シークエンサを用いてアントシアニン生合成と輸送に関わる遺伝子をほぼ一揃い単離し,RNA-seqで発現量を調べた結果,これら遺伝子のほとんどは赤筋で強く発現していたことから,‘Dizzy’花弁の赤い筋はこれらの転写調節に起因すると考えられた。そこで,アントシアニン生合成遺伝子の発現調節に関わる転写因子を調査した結果,‘3つのSubgroup 6 R2R3-MYB遺伝子が発現しており,その内MYB12の発現が最も強く赤筋で発現量が高かったことから,MYB12が赤筋の主な転写因子であることが分かった。花弁全体で発現しているMYB12遺伝子はカノコユリとオトメユリ由来であるが,Dizzy’のMYB12遺伝子はヤマユリの変種‘紅筋’のものと塩基配列が一致したことからヤマユリ由来と考えられた。また,カノコユリ・オトメユリとヤマユリのMYB12オーソローグ遺伝子は発現様式が異なると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オリエンタルハイブリッドユリの起源であるユリ属Archelirion節植物の多様性解析に関しては,これまでの解析でほぼ節内の全野生種を扱うことができている。また,オリエンタルハイブリッド品種についても野生種の関与について解析が進められている。 栽培化に関わる遺伝子においても,オリエンタルハイブリッドユリの品種である‘Dizzy’のアントシアニン合成と転写調節について発現解析を進めた結果,起源種との関連や色素合成機構を解明することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
多様性解析に関して,日本国内で広範な分布域を持つヤマユリとササユリについては引き続き野生集団のサンプリング地点を追加して解析を進めることでより詳細な遺伝構造が明らかになることが期待される。また,これまでex situ保存個体しか入手できなかったウケユリの自生地調査が可能となったことから,オリエンタルハイブリッドユリの成立過程において重要な役割を担ったと考えられる本種について集団としての解析を行うことができる。
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Causes of Carryover |
これまでの解析結果からヤマユリとサクユリについてより詳細な集団解析の必要性が生じたことと,ex situ保存個体のウケユリについては,新たに自生地での調査と分析が可能となったため,旅費,試薬等の消耗品,謝金等で使用する予定である。
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