2017 Fiscal Year Research-status Report
植物免疫におけるRNAサイレンシング機構のプライミング
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15K07307
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安藤 杉尋 東北大学, 農学研究科, 准教授 (10442831)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | miRNA / サイレンシング / プライミング / 植物免疫 / ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、miRNAがAGO2のBasalな発現制御を介してプライミング制御に係わる可能性を示した。このことからプライミング誘導時のmiRNAの変動をmiRNA-seqによって明らかにすることを試みた。シロイヌナズナにBTHをスプレー処理し、3日後にストレス処理としてロゼット葉の細胞間隙に水を浸透させ、3時間後にサンプリングした。コントロールとしてはBTH非処理区と水ストレス非処理区を設けた。それぞれの処理区のサンプルからRNAを抽出しsmall RNA画分を濃縮後cDNA合成し、MiSeqを用いたmiRNA-Seqを行った。その結果、miR398b, miR447a, miR3932b, miR1888bなどがBTH処理及び水ストレスを与えた区で多く蓄積する傾向があった。また、BTH処理によってmiR841aやmiR172bが蓄積する傾向なども見られた。しかしながら、全体的にリード数が少なかったことから、再度確認する必要があると考えられる。 また、ヒストン修飾によるAGO2プライミング制御およびウイルス抵抗性への影響の解析においては、ヒストン脱メチル化酵素(LDL1, LDL2, LDL3)の三重変異体に加え、ヒストンメチル化酵素(ATX1, ATX2, ATX4, ATX5)の四重変異体を作成し、キュウリモザイクウイルス抵抗性の変化を解析した。atx四重変異体は矮化や葉が変形するなどの奇形が認められたが、ウイルス増殖量は野生型に比べて抑えられており、ウイルス抵抗性が亢進していると考えられた。今後は変異体におけるAGO2のプライミングやプロモーター領域のヒストン修飾の状況を解析する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究計画は本年度で終了予定であったが、東北大学農学研究科のキャンパス移転に関連した業務が予想以上であったことや、移転後に植物栽培用の恒温室の不具合などにより植物の正常な栽培が難しい時期があったことなどが重なり研究の進捗が大幅に遅れてしまった。このため、研究期間の延長申請を行い、1年間で本年度に得られた候補miRNAなどの発現制御機構や機能解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を延長し予定していた研究計画に従い以下の項目について解析を行う。 ①変動が認められたmiRNA遺伝子のプロモーター領域のクロマチン構造の解析 ②変動が認められたmiRNAのターゲット遺伝子の変異体の解析 ③ヒストン修飾関連変異体を用いたプライミングの変化、クロマチン構造の解析。
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Causes of Carryover |
(理由)本年度までに計画していた実験が全体的に予定より遅れているため、執行せずに繰り越された金額が存在する。本来の計画を遂行するため、期間を延長し平成30年度にこれを用いて研究を継続する予定である。 (使用計画)次世代シークエンサーを用いた解析の追試を行う予定であり、これに関連の消耗品が必要である。またクロマチン構造の解析には抗体など比較的高額な試薬が必要である。その他、分子生物学実験用の試薬は随時必要なので、研究費は適正に執行が可能であると考えている。
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