2016 Fiscal Year Research-status Report
複数の病原体ゲノムと相互作用するデュアル抵抗性蛋白質システムの分子基盤の解明
Project/Area Number |
15K07321
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Research Institution | 岡山県農林水産総合センター生物科学研究所 |
Principal Investigator |
鳴坂 義弘 岡山県農林水産総合センター生物科学研究所, その他部局等, 専門研究員 (20335459)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 植物免疫 / 抵抗性遺伝子 / 抵抗性蛋白質 / 分泌蛋白質 / 炭疽病菌 / シロイヌナズナ / アブラナ科 / エフェクター |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちはペアの抵抗性(R)遺伝子が、少なくとも5種の病原体の攻撃を認識して抵抗反応を起動するデュアル抵抗性(R)蛋白質システムを発見し、その作用機作を明らかにすることを目的として研究を行っている。平成28年度は、デュアルR蛋白質システムの分子基盤を明らかにするために、未同定の炭疽病菌のAvrエフェクターの同定を試みた。さらに、異なる病原体のAvrエフェクターとデュアルR蛋白質の相互作用を比較解析することでAvrエフェクターの認識蛋白質およびその認識ドメイン、認識機構を明らかにすることを試みた。 (1) デュアルR蛋白質システムが認識するアブラナ科野菜類炭疽病菌Avrエフェクターの探索と同定 炭疽病菌のAvrエフェクターが宿主への感染時において果たす役割と機能を解明するために、本遺伝子を破壊した炭疽病菌の作製や、Avrエフェクターを発現させたシロイヌナズナを作製した。特に、昨年度に同定した過敏感細胞死を誘導するエフェクターについて、これらを導入したシロイヌナズナは生育異常が認められ、植物において何らかの作用を行うとの知見を得た。また、ゲノム編集によるエフェクターの破壊を試み、ゲノム編集用のベクターを構築した。 (2) デュアルR蛋白質による異なる4種の病原体認識機構の解明 異なる病原体のAvrエフェクターとデュアルR蛋白質をベンサミアーナタバコで一過的に発現し、過敏感細胞死を指標としてデュアル抵抗性蛋白質のモチーフの機能解析を行った。両R蛋白質のモチーフを改変して機能の変化を解析した結果、デュアルR蛋白質のN末側のモチーフが病原体の認識または抵抗性誘導に重要であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シロイヌナズナ由来のデュアルR遺伝子RPS4とRRS1の機能を明らかにするため、各蛋白質のモチーフにアミノ酸置換を導入し、炭疽病菌(Colletotrichum higginsianum)に対する感受度の変化、ベンサミアーナタバコを用いた過敏感細胞死の発現誘導を指標として検定した結果、病原体の認識や抵抗性発現に重要なR蛋白質のモチーフを明らかにしたことは評価に値する。特に、N末端側に位置するモチーフは他の研究グループの結果を覆す興味深い成果である。一方で、デュアルR蛋白質システムが認識するアブラナ科野菜類炭疽病菌Avrエフェクターの同定については困難を極めており、新たな手法を導入することを考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
課題「(1) デュアルR蛋白質システムが認識するアブラナ科野菜類炭疽病菌Avrエフェクターの探索と同定」については、ゲノム情報から得られる推定エフェクターを用いたスクリーニングではアブラナ科野菜類炭疽病菌Avrエフェクターの同定が困難であり、炭疽病菌の変異原処理による探索を開始した。 課題「(2) デュアルR蛋白質による異なる4種の病原体認識機構の解明」については順調に進捗しており、計画通りに研究を進める予定である。特に、炭疽病菌に対して高度に抵抗性を示すシロイヌナズナのエコタイプについて、本エコタイプのゲノムを解読し、リファレンスゲノムとの比較によりその原因因子を明らかにすることを試みる。
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Causes of Carryover |
課題「(2) デュアルR蛋白質による異なる4種の病原体認識機構の解明」について、炭疽病菌に対して高度に抵抗性を示すシロイヌナズナのエコタイプを発見した。本エコタイプのゲノムを解読し、リファレンスゲノムとの比較によりその原因因子を明らかにすることを試みるため、次世代シークエンサーによるゲノムシークエンス費用としてH28年度予算を次年度に繰り越し、H29年度予算と合算することで外注するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
4月早々に次世代シークエンサーによるゲノムシークエンス費用として、繰り越し分を含めて約99万円を使用する。
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Research Products
(15 results)
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[Presentation] A novel class of conserved effectors with ribonuclease domains is required for virulence of phytopathogenic Colletotrichum fungi on plants.2016
Author(s)
Kumakura, N., Ogawa, S., Gan, P., Tsushima, A., Narusaka, M., Narusaka, Y., Takano, Y., Shirasu, K.
Organizer
Latest Advances in Plant Development & Environmental Response
Place of Presentation
Awaji Yumebutai Conference Center,
Year and Date
2016-11-29 – 2016-12-02
Int'l Joint Research
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[Presentation] Comparative genomics of Colletotrichum fungi reveals lifestyle-adapted fungal gene gain/loss andn potential virulence-associated genes.2016
Author(s)
Gan, P., Narusaka, M., Kumakura, N., Tsushima, A., Hiroyama, R., Takano, Y., Narusaka, Y., Shirasu, K.
Organizer
13th European Conference on Fungal Genetics
Place of Presentation
パリ
Year and Date
2016-04-03 – 2016-04-06
Int'l Joint Research
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[Presentation] Comparative genomics of Colletotrichum fungi reveals lifestyle-adapted fungal gene gain/loss and potential virulence-associated genes.2016
Author(s)
Gan, P., Narusaka, M., Kumakura, N., Tsushima, A., Hiroyama, R., Takano, Y., Narusaka, Y., Shirasu, K.
Organizer
Colletotrichum Workshop at 13th ECFG
Place of Presentation
パリ
Year and Date
2016-04-03
Int'l Joint Research
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