2016 Fiscal Year Research-status Report
異なる環境下でのカブリダニ個体群構造の違いから考える土着天敵保護利用
Project/Area Number |
15K07329
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
日本 典秀 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業研究センター 虫・鳥獣害研究領域, 上級研究員 (80370675)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ケナガカブリダニ / 個体群構造 / マイクロサテライト / 移動分散 / 果樹 / ミヤコカブリダニ / 生物的防除 |
Outline of Annual Research Achievements |
カブリダニ類はハダニ類、アザミウマ類などの微小害虫の捕食性天敵として有望視されている。数種が生物農薬として市販されているが、近年は植生管理などを通じた土着個体群の保護利用も、注目されている。一方で、圃場におけるカブリダニ類の移動分散過程はこれまでに十分には明らかにされておらず、どのような範囲で、どのように植生管理を行えばカブリダニの保護増強が行えるかは経験則によるものであった。本申請課題では、マイクロサテライトマーカーを用いて管理方法・作物の異なる圃場でカブリダニ個体群構造を比較することによってカブリダニの移動分散様式を明らかにし、土着天敵の保護利用における定量的指針策定に資するものである。 本年度は、昨年に引き続き、マイクロサテライトマーカーによるケナガカブリダニの個体群構造について、果樹園(モモ園)から得られたサンプルについての解析を行った。それに先立ち種構成の調査を行ったところ、ケナガカブリダニ、続いてミヤコカブリダニが優占することが明らかとなった。ケナガカブリダニの樹間の個体間の遺伝的分化は大きく、樹ごとに個体群を形成していると考えられた。また、樹下の温存植物とモモ上の個体間の遺伝的分化も見られたが、樹間と比較すると遺伝的に近く、温存植物と樹上の遺伝子交流が示唆された。 なお、ミヤコカブリダニも優占する事例が見られたことから、ミヤコカブリダニについてもマイクロサテライトの開発に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り果樹園での解析を実施した。また、優占種が2種存在する場合の考察も必要であることが明らかになったことから、新たにミヤコカブリダニのマーカー作成を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
特に問題なく計画書通りの実施が可能と考えられる。得られた成果を論文化するよう努める。
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Causes of Carryover |
カブリダニサンプルからのDNA抽出など実験補助に関して契約職員を雇用していたが、順調に処理が進んだため、予定より支払う賃金が少なく済み、残額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額18,781円は、追加実施するマイクロサテライト解析のため、高価な試薬が必要になり、次年度に申請する金額と併せて、研究計画遂行のために使用する。
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