2015 Fiscal Year Research-status Report
発生が相次ぐ果樹害虫タマバエの分類学的・生態学的特性の解明と防除対策への応用
Project/Area Number |
15K07330
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
上地 奈美 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門 生産・流通研究領域, 主任研究員 (40507597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳田 誠 佐賀大学, 農学部, 准教授 (60469848)
湯川 淳一 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 名誉教授 (80041622)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 栽培ブドウ / ブドウミタマバエ / 越冬場所 / 野生寄主 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、重点的に栽培ブドウの果実を加害するブドウミタマバエ(仮称)Asphondlyia sp. を扱い、福島県のブドウ園地およびその周辺で調査・採集を行った。
【方法】2015年6月9、11日に被害果実を採集した。また、6月23、24日に過去にタマバエの発生が認められたブドウ栽培圃場を訪問した。園主への聞き取りによって栽培品種や被害状況などを確認した。また、圃場および周辺植生において被害果実や代替寄主植物を探索した。被害果は解剖して内部のタマバエを確認した。一部は室内で飼育して成虫を確認した。
【結果】ブドウ栽培園地1カ所では、一昨年、昨年に引き続き6月中旬に被害果が認められた。被害果は正常な果実より小さく、種子の形成が未発達だった。被害果を解剖したところ、タマバエの1~3齢および蛹が確認された。なお、10~20年前から被害果らしき果実があり、他の品種でも被害果を見たことがあるとのことだった。他の園地でも今年6月中旬に被害果が認められたところがある一方で、今年は被害がみられない園地もあった。今年被害が認められなかった園地では、昨年8月には加害が認められ、被害果は正常な果実と大きさや形が変わらず区別がつかないが、ブドウミタマバエの羽化殻が付着していたとのことだった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発生園地、および、ブドウ栽培園地での聞き取り調査を実施し、ブドウ栽培圃場でのブドウミタマバエの発生状況や、周辺環境の植物種を確認できた。発生時期に関しては、6月中旬の時点で既に寄生果実内には3齢幼虫が認められ、産卵時期はこれより早いと考えられた。なお、各発生園地の周辺環境は様々であり、越冬寄主植物の解明は容易でないことが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
ブドウミタマバエに関しては計画通り、次年度も発生地および周辺環境における調査を進める。 ・H28年度は5月頃から果実を観察し、成虫の飛来・産卵時期の解明を試みる。 ・周辺の植物でタマバエの寄生を探索し、ブドウミタマバエのブドウ以外の寄主の解明を試みる。 ・H27年度に、ブルーベリータマバエ Dasineura oxycoccana の国内(群馬県)での発生が新たに認められた。本種に関しても発生地での情報収集をおこなう。
その他の果樹害虫タマバエ類に関しても、計画通り研究を実施予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定より旅費等の支出が少なかったため未使用額が生じた。タマバエ発生の状況が当初予想されたよりも早く、最初の調査時で既に当該年度の発生が終了していて以降の調査や解析の実施がなかったことなどが理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は昨年度に引き続き、発生地および周辺環境での調査を実施予定であるが、昨年度より早く調査を実施し、旅費や解析費用として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)