タンパク質の立体構造に基づく新規農薬候補化合物の合理的探索

2019 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 15K07331
• Research Institution: National Agriculture and Food Research Organization
• Principal Investigator: 鈴木 倫太郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 高度解析センター, 上級研究員 (00399429)
• Project Period (FY): 2015-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: 化合物のクラスタリング / 3次元分子の作成 / ドッキングシミュレーション

Outline of Annual Research Achievements

現在得られた3次元分子を用いてアセト乳酸合成酵素の立体構造を標的とするドッキングシミュレーションによるスクリーニングを行った。スクリーニング対象のライブラリの作成についても昨年度までに確立した手法に改良を加えた。ナミキ商事のライブラリ(2019年4月時点で約779万化合物)から農薬として適した物性値を持たない化合物(約149万)を除外し、また塩の場合は対イオンを削除したうえで、実行速度の速いツールbayonを用いたクラスタリングにより60万のクラスタに分割し、これも昨年度までに構築した手法を用いてそれぞれの代表化合物を選抜した。3次元化に際しても、昨年度までに構築した手法により光学異性と幾何異性のすべての組み合わせについて検討し、さらに光学異性や幾何異性に依存した光学異性や幾何異性への対応、メソ異性体の判定による重複の回避を行った。3次元分子の作成に用いたrdkitで読み込むことができない分子、農薬としての開発に適さないと考えられる異性体の数が20よりも多い分子等を除外したところ、最終的に約106万の3次元分子が得られた。これに対して農林水産研究情報総合センターの分散並列計算用クラスタシステム(6048コア、同時実行数は72)を用いてautodock-vinaによるドッキング計算を行い、結合エネルギーを指標とするスクリーニングを行った。ライブラリ試薬は全て海外からの購入となるため、新型コロナウイルスの蔓延により昨年度内の納入が難しくなり、購入と活性測定を行うため1年間の延長を申請したところである。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

化合物の取扱いに用いているRDKitのバージョンアップによって、化合物の3次元化の判定が厳しく設定され、実際には可能な異性体が作成できなくなるという弊害が起き、その対応に時間がかかった。さらに、ドッキングシミュレーションによるスクリーニング終了後のライブラリ試薬の購入について、ライブラリ試薬は全て海外からの購入となるため、新型コロナウイルスの蔓延により昨年度内の納入が難しくなり、購入と活性測定を行うため1年間の延長を申請したところである。

Strategy for Future Research Activity

化合物の3次元化において使用するソフトウェア(rdkit)のバージョンを古いものに固定することとする。これまでにスクリーニングにより得られた候補化合物を購入し、活性測定を行う。

Causes of Carryover

（理由）スクリーニングにより選定した化合物の購入に充てる予定であったが、進捗状況に記したとおり、当初計画で想定していなかった問題が判明し、購入できなかった。
（使用計画）ドッキングシミュレーションによるスクリーニングを実施し、選定した化合物を購入する