2015 Fiscal Year Research-status Report
ゲニステインで誘導発現するダイズ根粒菌TetR familyの共生への関与
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15K07346
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
大和田 琢二 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (90211804)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ダイズ根粒菌TetR family / ゲニステイン / 共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲニステイン(GEN)で特異的に強く誘導発現するダイズ根粒菌(Bradyrhizobium japonicum)TetR family領域(bll7017~bll7033の17個の遺伝子)の発現へのTetR転写調節遺伝子(blr7023, bll7024)の関与を調べるため、blr7023、及びbll7024破壊株のTetR family遺伝子全体の発現プロファイル(親株に対する比)を、マクロアレイを用いてクローンレベル(17個の遺伝子を含む8個のクローン)の発現量により調べた。その結果、blr7023破壊株では、GEN無処理にも関わらず全てのクローンが有意に発現し、その発現量と発現パターンはGEN(終濃度5μM)で処理された親株の場合と類似していたが、bll7024破壊株ではクローンレベルでの有意な発現は認められなかった。次に、blr7023、及びbll7024破壊株のTetR family構造遺伝子(bll7019:RND型多剤排出ポンプをコードする遺伝子;blr7029:ポリヒドロキシ酪酸代謝系をコードする遺伝子)の発現量(親株に対する比)を培養後30分(12時間)に定量的RT-PCRで測定した結果、blr7023破壊株では、bll7019:1064(1018)倍、blr7029:689(383)倍を示し、親株でGEN処理後の発現量(bll7019:805(3.3)、blr7029:451(4.4))と比較して、培養後30分では同程度以上、12時間でも発現量が顕著に高く維持されていた。一方、blr7024破壊株では、bll7019:3.2(29.6)、blr7029:1.6(9.1)を示し、親株で見られたGEN処理後の急激な発現量の増加は認められなかった。以上の結果から、主にblr7023産物がTetR familyのリプレッサーとして機能していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
宿主のダイズから放出されるフラボノイド化合物のゲニステインによって、特異的に強く誘導発現するダイズ根粒菌Bradyrhizobium japonicum TetR family領域の共生への関与を明らかにするため、当該年度は、構築されたTetR family転写調節遺伝子(blr7023, bll7024)の破壊株を用いて、ゲニステインによるTetR family遺伝子の誘導発現における転写調節遺伝子の役割を明らかにすることを目的とした。その結果、1)マクロアレイを用いて、blr7023、及びbll7024破壊株のTetR family領域にある17個の遺伝子を含む8個のクローンの発現量(親株に対する比)を調べた結果、blr7023破壊株は全てのクローンが有意に発現し、その発現量と発現パターンはゲニステイン(終濃度5μM)処理された親株の場合と類似していたが、bll7024破壊株ではクローンレベルでの有意な発現は認められなかったこと、及び2)定量的RT-PCRを用いて、blr7023、及びbll7024破壊株のTetR family構造遺伝子(bll7019、blr7029)の発現量(親株に対する比)を調べた結果、blr7023破壊株は、培養後30分でbll7019とblr7029の両者が顕著に発現し、その発現量は培養後12時間でも高く維持されたが、blr7024破壊株では有意な発現量の増加が認められなかったことから、主にblr7023産物がTetR familyのリプレッサーとして機能していることを明らかにした。 以上、ゲニステインによるTetR family遺伝子の誘導発現における転写調節遺伝子(主にblr7023)の役割が明らかになり、研究の目的はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの達成度はおおむね順調に進展しているため、今後の研究は、交付申請書に記載した研究実施計画に沿って推進する計画である。即ち、構築されたTetR family遺伝子破壊株の共生関連遺伝子群(nod遺伝子、typeIII分泌系遺伝子)の発現量を測定することにより、TetR familyの共生関連遺伝子発現への関与を調べるとともに、遺伝子破壊株のゲニステイン感受性、並びに根粒内の感染率や競合能などの根粒形成への関与を調べ、宿主ダイズから放出されるゲニステインによって、特異的に強く誘導発現するダイズ根粒菌Bradyrhizobium japonicum TetR family領域の共生への関与を明らかにする計画である。
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Research Products
(1 results)