2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K07352
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
依田 幸司 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 名誉教授 (20143406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 陽一 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (90282699)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 微生物 / 酵母細胞壁 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までにSaccharomyces cerevisiaeの細胞破砕液中に見出した,β-1,6-glucanを切断する活性を更に詳細に解析した.活性の所在を正確に調べたところ,膜画分に二種類,細胞質画分に一種類が存在することを明らかとした.大量培養後の細胞破砕液から,複数のカラムを用いて活性を担う蛋白質の精製を試みた.膜画分の活性のうち,一つはエキソグルカナーゼ活性を示すExg1であった.遺伝学的な解析や局在に関する解析を行っている.また残りの二つは,基質の切断パターンから共におそらくエンドタイプの切断活性を示すグルカナーゼであることを見出した.精製のスキームはほぼ完成し,同定のためのスケールアップを行っている段階である. β-1,6-glucanの合成に中心的な機能を持つⅡ型の膜貫通型蛋白質であるKre6に関しては,N糖鎖付加部位など機能に関与すると予想される配列にアミノ酸置換を導入し,機能や細胞内の分布への影響を調べた.KRE6遺伝子とその相同蛋白質をコードするSKN1遺伝子との二重破壊は致死となることを利用して,Δkre6 Δskn1株において,アミノ酸置換を行ったKre6蛋白質を発現するように遺伝学的な操作を行い,Kre6のアミノ酸置換体の機能の有無を調べた.Kre6はGH (glycosyl hydrolase)16ファミリーと相同性を有しており,まず糖質分解酵素の活性中心の共通配列のアミノ酸の置換を導入したところ,Kre6の機能が失われたが,その芽への局在は顕著な影響を受けなかった.また5個あるN糖鎖付加共通配列のアミノ酸置換では,2番目の共通配列の置換は機能を消失させ,芽への局在も失われた.また3番目と4番目の共通配列に同時に置換を行うことにより機能が失われた.これらN糖鎖の結合蛋白質との相互作用への影響などを調べるための株の作製を開始している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Kre5, Kre9 は昆虫細胞や,酵母の高発現系を用いることにより大量に得ることができるようになり,最終年度の実験を大きく促進することが期待できる.またKre6のリン酸化と芽への局在の関連性など,Kre6の局在化に関する知見も得ることができた.我々が検出した細胞のβ-1,6-glucanase活性はかなり強く,合成機構の解析の妨げとなると考えられる.同定したExg1をコードする遺伝子を欠損することで今後の解析が容易になった.
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Strategy for Future Research Activity |
発現精製に問題の多いKre6の高発現,精製条件の検討を引き続き行う.得られたKre6を用いてin vitroの反応系を作り,機能を解析する.またKre5やKre9に関しても昆虫細胞や,酵母を用いて,高発現,精製を行い,ラベルの基質を用いた反応などを行い機能を解析する.
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Research Products
(2 results)