2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K07356
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
池田 正人 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (00377649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹野 誠記 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (30422702)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | コリネバクテリウム グルタミカム / ビオチン / ピメリン酸 / 脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
【ピメリン酸バイオアッセイ系の開発】 脂肪酸経路からビオチン経路への炭素流入量をピメリン酸(ビオチン経路の入り口に位置するピメロイル-CoAの分解物)で評価することを考え、ピメリン酸を簡便に検出するためのバイオアッセイ系の開発を試みた。ポイントは、低濃度のピメリン酸で生育応答する指示菌の開発である。コリネ菌野生株に大腸菌のbioFを導入すると、ビオチンの要求性がピメリン酸で代替され、ピメリン酸要求性を示すが、ピメリン酸要求量は10 g/Lと極めて高く、バイオアッセイに供するには要求量を4桁下げる(1 mg/L以下にする)必要があった。自然変異でピメリン酸要求量の低下した変異株を順次誘導した結果、最終的に、ピメリン酸濃度 0.1 mg/Lで生育する高感度な菌株を取得した。この菌株には、さらに、ΔbioY変異およびΔppc変異を導入して、低濃度のビオチンやオレイン酸に反応しないよう工夫を加えた。本株を指示菌としたバイオアッセイのモデル実験で、ピメリン酸を 1 mg/Lのオーダーまで定量できることを確認した。
【ピメリン酸要求量低下メカニズムの解明】 上記指示菌の変異点を同定した結果、ピメリン酸の効率的利用に繋がる新規変異を3種見出した。1つはピメリン酸のCoA化を担う遺伝子の高発現化、1つはピメロイル-CoAの脱CoA化に関わる遺伝子の欠損、そして残り1つは解糖系の鍵酵素6-ホスホフルクトキナーゼ(pfk)のミスセンス変異である。pfk変異は恐らくポジティブ変異で、細胞内のアラニン(Ala)プールの上昇をもたらし、Alaを基質とするBioF反応を促進させる効果と推察される。実際、Alaの添加はpfk変異と同様な効果をもたらす。以上、これら3変異が協調してピメリン酸からピメロイル-CoAを経てビオチンまでの転換を高め、ひいてはピメリン酸の効率的利用に繋がっていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施計画では以下の2点を掲げた。1番目の項目は計画通りに達成できた。 2番目の項目についても、目的とするピメリン酸分泌生産菌の取得が可能であることまで確認済みである(結果の詳細は次年度に報告予定)。 1.簡便なピメリン酸バイオアッセイ系の開発 2.コリネ菌によるピメリン酸の分泌生産
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Strategy for Future Research Activity |
【ピメリン酸の高生産化】 これまでの検討で、コリネ菌が遊離のピメリン酸を菌体外に分泌生産できることを見出しているが、その蓄積量はμg/Lレベルと微量である。一方、我々は、コリネ菌が数百mg/Lレベルの長鎖脂肪酸を生産できることを報告している。従って、今後の課題は、長鎖脂肪酸への代謝をいかにして、その下流のピメリン酸まで流すかである。その転換反応に与るBioI酵素に着目して、その発現を高める改良を試みる。加えて、BioI反応の基質は長鎖脂肪酸のCoA体なので、CoA体の分解に関わるチオエステラーゼにも着目して、その特定と遮断の効果を検討する。
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Research Products
(6 results)