2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K07362
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
後藤 正利 佐賀大学, 農学部, 教授 (90274521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 元太 佐賀大学, 農学部, 教授 (40291512)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 麹菌 / Aspergillus kawachii / クエン酸生産 / イタコン酸生産 / オミックス解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、焼酎製造に用いられる白麹菌 Aspergillus kawachii を特徴づけている性質の一つであるクエン酸の高生産機構の解明を目指すとともに、有用有機酸であるイタコン酸を高生産する白麹菌の育種を試みた。 白麹菌のクエン酸の高生産機構の解明のために、白麹菌のオミックス解析と遺伝子破壊株の表現型解析により、クエン酸-リンゴ酸アンチポーターをコードするctpA(AKAW_03754)が白麹菌のクエン酸の高生産に起因する遺伝子の一つであると推定した。そこで白麹菌と黄麹菌 ctpA 遺伝子の交換によりクエン酸生産性が変化するか否かを確認するためのベクターを構築した。 RNAseq解析による白麹菌-黄麹菌間の発現比較解析を行い、上記とは別の視点からクエン酸の高生産機構に関与すると推定される遺伝子を探索した。GO解析の結果、GO:0003995の中から、白麹菌のクエン酸生産条件下で発現している2遺伝子を白麹菌のクエン酸高生産に関する遺伝子候補として選抜した。これらの遺伝子破壊ベクターを構築した。 また、研究過程において、アルギンニン生合成に関わるargB遺伝子破壊株がアルギニン存在下でクエン酸をほとんど生産せず、大量の2-オキソグルタル酸を生産することを見出した。argB 以外のアルギニン代謝に関わる遺伝子の破壊株構築のためのベクターを構築した。 一方、新たにイタコン酸生産能を獲得した白麹菌の育種を試みている。A. itaconicus の cis-アコニット酸脱炭酸酵素(Cad) をコードすると推定されるcadA1 及びcadA2 遺伝子を導入した白麹菌でイタコン酸生産量を調べたが両株ともイタコン酸の生産は確認できなかった。A. itaconicus CadA1がCAD活性を示すことを実験的に証明して、真のCadであることが明らかになり、cadA1を白麹菌に導入するための新たなベクターを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クエン酸高生産に関わる遺伝子の一つとしてctpAを見出した。さらにctpAがクエン酸高生産に関わることを別の視点から証明するために白麹菌と黄麹菌ctpA遺伝子の交換によりクエン酸生産性が変化するか否かの確認を行うためにベクターを構築した。 RNAseq解析による白麹菌-黄麹菌間の発現比較解析を行い、クエン酸の高生産機構に関与すると推定される遺伝子を探索して、2つの遺伝子を破壊するためのベクターを構築した。 アルギンニン生合成に関わるargB遺伝子破壊株がアルギニン存在下でクエン酸をほとんど生産せず、2-オキソグルタル酸を生産することが研究過程で判明した。アルギニン代謝とクエン酸高生産性の関係について調べるために、アルギニン生合成に関与するargB以外の2つの遺伝子の破壊株構築のためのベクターを構築した。 イタコン酸生産菌Aspergillus Itaconicusのcad遺伝子が同定できたので、発現誘導プロモーターを用いた発現ベクターを再構築した。白麹菌でのAicad遺伝子発現の準備ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で蓄積した情報をもとに必要な遺伝子破壊及び遺伝子発現ベクターの構築が完了したので、これらのベクターを利用して、白麹菌破壊株及び高発現株を作成する。得られる株については、有機酸生産性を中心とした表現型解析を行いクエン酸高生産に関係する遺伝子を同定する。 また、cadA1遺伝子導入白麹菌株については、cadA1遺伝子導入後、イタコン酸生産性の確認を行い、イタコン酸生産量の向上を目指すべく遺伝子導入法の改良や培養工学的改良を試みる。
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Causes of Carryover |
前年度に職場が変わり引っ越し作業で研究実施の遅延が生じたため次年度使用額が発生した。移動後、機器の設定等のため研究再開に時間を要したため、予算執行が遅れた。平成28度は、平成28年度予算額のほぼ全額を使用したが、前年度未使用額がそのまま次年度使用額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は当初から滞りなく研究進展が見込めるため、不足分の試薬と機器の部品購入に使用する。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Marker recycling system using the sC gene in the white koji mold, Aspergillus luchuensis mut. kawachii.2016
Author(s)
Kadooka, C, Onitsuka, S, Uzawa, M, Tashiro, S, Kajiwara, Y, Takashita, H, Okutsu, K, Yoshizaki, Y, Takamine, K, Goto, M, Tamaki, H, Futagami, T.
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Journal Title
Journal of General and Applied Microbiology
Volume: 62
Pages: 160-163
DOI
Peer Reviewed
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