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2015 Fiscal Year Research-status Report

プロテアーゼ巨大分子複合体とウイルス様膜小胞による細菌の新規細胞機能の確立と応用

Research Project

Project/Area Number 15K07366
Research InstitutionKyoto Prefectural University

Principal Investigator

渡部 邦彦  京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (90184001)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 川崎 一則  国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (40356837)
増村 威宏  京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (50254321)
Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords膜小胞 / プロテアーゼ / 好熱性細菌
Outline of Annual Research Achievements

トリ羽毛分解を行う好熱性細菌Meiothermus ruber H328 株が分泌する、強力なケラチン分解性プロテアーゼ巨大分子複合体と、この複合体を含み、細胞表層から放出されるウイルスに類似した「膜小胞」(membrane vesicle)について研究を実施した。膜小胞の検出法の確立として、2つの蛍光色素FM4-64 (Synapt Red C2)とDiI (1,1'-dioctadecyl-3,3,3',3'- tetramethylindocarbocyanine perchlorate)を用いて試験し、DiIがより有効な検出試薬であることが判った。巨大分子複合体の構成タンパク質である2つのタンパク質、機能未知Protein A (MrH_0843)とセリンプロテアーゼProtein B (MrH_0844)を、膜小胞での存在を確認するためウエスタンブロッティング解析、免疫沈降解析、そして免疫電子顕微鏡解析を用いて行った。その結果、Protein Bについてはいずれの解析においても確実に膜小胞上に確認されたが、Protein Aは前2者では確認されるものの免疫電顕では明確な
シグナルを得ることは出来なかった。しかし、この2つの遺伝子のオペロン解析からは、確実にオペロンを構成して発現することが判った。さらに、耐熱型カナマイシン耐性遺伝子をマーカーに用いた相同組換えによるH328 株変異株作成法を確立し、これら2 タンパク質の破壊を実施した。得られた2遺伝子破壊株を調査したところ、セリンプロテアーゼ活性は野生型株の30%程度にまで下落したものの、トリ羽毛分解能については野生株よりわずかに低いものであることが判った。即ち、セリンプロテアーゼ活性がトリ羽毛分解の律速ではないことが明らかになった。今後さらに膜小胞との関連を計画に従って追究していく予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

トリ羽毛分解を行う好熱性細菌Meiothermus ruber H328 株が産生するケラチン分解性プロテアーゼ巨大分子複合体と細胞表層から放出する膜小胞について研究を行った。まず膜小胞の検出のため、蛍光色素2種を用いて検討し、DiI (1,1'-dioctadecyl-3,3,3',3'- tetramethylindocarbocyanine perchlorate)が良好な結果を得ることが判った。膜小胞画分に含まれる2つのタンパク質、機能未知Protein A (MrH_0843)とセリンプロテアーゼProtein B (MrH_0844)を、異なる検出法で確認したところ、ウエスタンブロッティング解析、免疫沈降解析では確認出来たが、免疫電顕では明確な
シグナルを得ることが出来ないことが判った。H328株の遺伝子破壊株作成法を確立し、上記2 タンパク質の破壊株を得た。この遺伝子破壊株のセリンプロテアーゼ活性は、野生型株のそれの30%程度にまで下落したものの、トリ羽毛分解能については野生株よりわずかに低いものに留まることが判った。このことから、トリ羽毛分解を向上させる因子がセリンプロテアーゼではなく別の因子であることが判り、別の遺伝子破壊を検討している。

Strategy for Future Research Activity

好熱性細菌Meiothermus ruber H328 株について、これまでターゲットしてきた2タンパク質遺伝子だけではなく、羽毛ケラチンに多数含まれるジスルフィド結合に対して作用するプロテインジスルフィド還元酵素の遺伝子破壊を検討している。加えて、膜小胞がストレスにより誘導されることが他の細菌の通説になっていることから、ストレス応答性遺伝子であるdegP遺伝子に焦点を絞り、これをゲノム情報から特定し、この遺伝子破壊株を作成する試みを行っている。今後膜小胞とこれらの遺伝子との関連を検討し、本計画を推進したいと考えている。

Causes of Carryover

前年度までの計画だけではすべての計画が達成出来ないため、引き続き次年度においても研究計画書に沿った研究を推進し、H328株によるトリ羽毛分解機構の増強と膜小胞形成にかかる生合成経路の解明をめざす。

Expenditure Plan for Carryover Budget

前年度から引き続き、M. ruber H328株におけるターゲットした遺伝子破壊株作成による膜小胞の変動調査として、ジスルフィド酸化還元酵素7(Tdor7)について、遺伝子破壊株の作成によるトリ羽毛分解調査を行うとともに、膜小胞への移送を調べる。その中で、本タンパク質に対するウサギ抗体を作成し、H328株および培養上清等への存在をwestern blotting法等を用いて確認する。また有用タンパク質巨大分子複合体形成と膜小胞人為的コントロールによる革新的バイオツールの応用・開発の一助として、細胞表層タンパク質S-layer proteinにターゲットして、この遺伝子について欠損株および遺伝子融合によるプロテアーゼおよびジスルフィド酸化還元酵素の増強を試みる計画である。これらを進めることによって、膜小胞への移送、およびバイオツールとしての可能性を評価する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2016 2015

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 2 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 細菌が放出する膜小胞(membrane vesicle)の機能と生合成機構そして応用に向けた研究動向2016

    • Author(s)
      渡部 邦彦
    • Journal Title

      化学と生物

      Volume: 54 Pages: 720-725

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Caenibacillus caldisaponilyticus gen. nov., sp. nov., a thermophilic, spore-forming and phospholipid-degrading bacterium isolated from acidulocompost2016

    • Author(s)
      Yoshiyuki Tsujimoto, Ryo Saito, Hiroto Furuya, Daisuke Ishihara, Takehiko Sahara, Nobutada Kimura, Tokuzo Nishino, Naoki Tsuruoka, Yasushi Shigeri, Kunihiko Watanabe
    • Journal Title

      International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology

      Volume: in press Pages: in press

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 細菌が出芽する?いえいえ,放出されるのは膜小胞2015

    • Author(s)
      渡部 邦彦
    • Journal Title

      日本生物工学会誌

      Volume: 93 Pages: 412

    • Open Access
  • [Presentation] 膜小胞を産生するMeiothermus ruberH328株によるトリ羽毛分解に関する研究 ~ケラチン分解性プロテアーゼ遺伝子破壊株の作成とトリ羽毛分解の検討~2016

    • Author(s)
      清水 歩、西 海斗、俣野 明日香、森川 拓磨、増村 威宏、佐生 愛、川崎 一則、茂里 康、渡部 邦彦
    • Organizer
      日本農芸化学会2016年大会
    • Place of Presentation
      札幌コンベンションセンター
    • Year and Date
      2016-03-27 – 2016-03-30

URL: 

Published: 2017-01-06  

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