2015 Fiscal Year Research-status Report
アセチル化によるRNAポリメラーゼの機能分化とその全体像解明
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15K07367
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小倉 光雄 東海大学, 海洋研究所, 教授 (80204163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古園 さおり 東京大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (90321760)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 枯草菌 / 翻訳後修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
枯草菌のRNAポリメラーゼのシグマ因子と接触するサブユニットβとβ’のいくつかのリジン残基は、アセチル化されることが知られている。また、グルコースを培地に添加するとアセチル化される残基は多くなることも、大腸菌では知られている。すでに論文で公表されているRNAポリメラーゼでアセチル化されるリジン残基の機能を探るため、βとβ’をコードするrpoBCオペロンをプラスミド上にクローン化し、それぞれのリジン残基をアルギニン残基に変換したプラスミドを計26種作製した。このプラスミドを、thrC::sigX-lacZを持つ枯草菌染色体amyE部に導入した後、オリジナルのrpoBCを破壊した。導入した変異rpoBCはキシロース誘導性のプロモーターを持っている。これらの変異株をグルコースの有る無しで培養し、sigX-lacZ活性を測定することで、各変異のsigXのグルコース誘導に対する効果を検討した。いくつかの変異株では、50%程度のグルコース誘導の減少が認められた。しかし、決定的に重要と思われる残基は認められなかった。これらの変異の効果は、アセチル化が起きなかったことによる減少ではなく、変異導入でおきたRNAポリメラーゼの構造変化による可能性もある。 次に、RNAポリメラーゼをアセチル化するアセチル転移酵素を同定することを目的に、アセチル転移酵素モチーフを持つタンパク質をコードする遺伝子42個について破壊株(同時にsigX-lacZを持つ)を作製した。これら変異株のうち、RNAポリメラーゼをアセチル化する酵素をコードする遺伝子破壊株では、sigX-lacZ活性が顕著に低下すると考えられる。全株について、グルコース誘導効果を測定したところ、40%程度の誘導効果減少が観察された株を5株同定したが、決定的に効果が減少した株は見いだせなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたRNAポリメラーゼの点変異株構築と検定はある程度実行できた。また、アセチル化酵素候補株の作製と検定も予定通り実行できた。ただし、決定的に重要なリジン残基とアセチル化酵素遺伝子は同定できたとは言えない。
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Strategy for Future Research Activity |
sigXのグルコースによる誘導という現象に関わる遺伝子をより広くゲノムから検索するため、トランスポゾン導入により、sigX-lacZのグルコース誘導が顕著に低下する変異株を見つけ、それら遺伝子の機能を解析することで、現象の本質に迫りたいと考え準備を進めている。この検索法により、アセチル化酵素遺伝子を見つけることができる可能性も考慮している。
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Causes of Carryover |
予定していた消耗品購入を先送りしたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品購入に充てる。
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