2016 Fiscal Year Research-status Report
アセチル化によるRNAポリメラーゼの機能分化とその全体像解明
Project/Area Number |
15K07367
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小倉 光雄 東海大学, 海洋研究所, 教授 (80204163)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古園 さおり 東京大学, 生物生産工学研究センター, 特任准教授 (90321760) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | RNAポリメラーゼ / タンパク質リジンアセチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
RNAポリメラーゼ(RNAP)のβとβ’サブユニットでアセチル化が観察されたリジン残基をアルギニン残基に変換する変異をDNAに導入して、sigX-lacZのグルコース誘導(GI)が顕著に抑えられる変異株を見つける試みでは、そのようなタイプの変異は同定できなかった。2015年の論文で同定されたリジン残基に基づいて計画を実行したが、2016年の別グループでの論文の結果はかなり異なっていた点も、さらに変異株を構築する計画実行をためらわせる物だった。そこで、昨年度取得したsigX-lacZのGIが顕著に抑えられるトランスポゾン挿入株のうち、cshAという遺伝子破壊株に注目した。この遺伝子は、RNAヘリカーゼをコードしているが、RNAPに会合している事も知られている。そこで、このcshA株とsigX-lacZのGIについてさらに解析を行った。染色体上のcshAを破壊した株で、キシロース誘導性プロモーターにつないだcshAを導入、キシロースにより発現させると、sigX-lacZのGIの回復が観察された。このことは、cshAがsigX-lacZのGIに必要である事を示している。CshAは2箇所のリジン残基がアセチル化される。そこで、この系を使いアセチル化されるリジン残基をアルギニン残基に置換した変異型CshAの機能を調べたところ、sigX-lacZのGIが失われた。つまり、CshAのアセチル化が重要であることがわかった。さらにCshA-Hisを持つ枯草菌株を作製、そこからCshA-Hisを精製し、アセチル化リジン抗体によってアセチル化の程度を調べたところ、グルコース添加によりCshAのアセチル化は促進されていた。以上の事から、グルコース添加でCshAがアセチル化されるとRNAPに会合し、RNAPをSigmaAからSigmaXとの会合を選好するようにシフトさせるメカニズムが推察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RNAPに会合してその性質に影響し、シグマ因子のパートナースイッチングを起こさせるCshAタンパクを同定できた事が大きな進捗であると考えている。すなわち当初予想したようにRNAPそのもののリジン残基がアセチル化される事によりパートナースイッチングが起きるのではなく、RNAPに会合する因子のアセチル化によりパートナースイッチングが起きるであろう事を示唆する結果を得ることができ、論文発表した。
|
Strategy for Future Research Activity |
トランスポゾン挿入によりsigX-lacZのGIがほぼ起きなくなった変異株がさらに4株あるので、それらで破壊されている遺伝子とGIの関係につき、解析を進めて行く予定である。
|