2015 Fiscal Year Research-status Report
機能未知ホスホリラーゼ類似酵素の特性解明と有用糖質合成への応用
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15K07386
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
磯野 直人 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (70378321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝崎 裕隆 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (10262990)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ホスホリラーゼ / ラミナリデキストリンホスホリラーゼ / β-1,3-オリゴグルカンホスホリラーゼ / β-1,3-グルカンホスホリラーゼ / 好熱菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
Ochromonas danica由来β-1,3-グルカンホスホリラーゼ (EC 2.4.1.97) およびPsychromonas ingrahamii由来ラミナリデキストリンホスホリラーゼ(EC 2.4.1.30, 別名β-1,3-オリゴグルカンホスホリラーゼ)と相同性を示す機能未知タンパク質のうち、4種のタンパク質(ヒスチジンタグ融合タンパク質)をpETシステムを用いて産生し、ニッケルカラムで精製した。酵素活性を調べたところ、これらのタンパク質はいずれもラミナリデキストリンの加リン酸分解とその逆反応を触媒する、ラミナリデキストリンホスホリラーゼであることが明らかとなった。このうち、最も高い至適温度(55 ℃)を示した好熱性細菌Melioribacter roseus DSM 2384株由来ラミナリデキストリンホスホリラーゼの特性を詳しく調べた。本酵素は基質特異性が類似していたP. ingrahamii由来ラミナリデキストリンホスホリラーゼと比較して熱安定性が著しく高く、45 ℃で48 h保持しても活性に変化は見られなかった。また、至適pHは7.5であった。α-グルコース1-リン酸 (100 mM) とグルコース (0.4-100 mM)を基質として、本酵素の反応を45 ℃で一晩行ったところ、ラミナリデキストリンと思われる水に可溶性のオリゴ糖や多糖が合成された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的のうち、熱安定性に優れたラミナリデキストリンホスホリラーゼを得ることは達成された。また、当初は平成28年度以降に実施する予定であった、ラミナリデキストリンホスホリラーゼの特性解析と、ラミナリデキストリン(ラミナリオリゴ糖)の合成を一部前倒しして実施した。新規反応を触媒するホスホリラーゼの探索も同時進行で行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
β-1,3-グルカンホスホリラーゼやラミナリデキストリンホスホリラーゼと相同性を示す機能未知タンパク質の中から、新規反応を触媒するホスホリラーゼの探索を試みる。また、セロデキストリンホスホリラーゼとラミナリデキストリンホスホリラーゼ(あるいはβ-1,3-グルカンホスホリラーゼ)を用いて、セロビオース(あるいはラミナリビオース)をアクセプター、α-グルコース 1-リン酸をドナーとした反応を行うことにより、β-1,3-1,4-グルカンの合成を試みる。酵素合成ラミナリデキストリンや酵素合成β-1,3-1,4-グルカンの構造解析・分子量分布解析を行う。
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Causes of Carryover |
熱安定性に優れたラミナリデキストリンホスホリラーゼを順調に見出すことができたため、消耗品を当初予定よりも購入しなかった。また、今年度予定していなかったラミナリデキストリンホスホリラーゼに関する研究を一部前倒ししたことに伴い、他の酵素探索を次年度に重点的に行うことにしたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
薬品・プラスチック器具・合成DNA・微生物試料などの消耗品を購入する。また、学内機器使用料や学会への出張旅費として使用する。設備備品の購入は予定していない。
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Research Products
(5 results)