2017 Fiscal Year Research-status Report
機能未知ホスホリラーゼ類似酵素の特性解明と有用糖質合成への応用
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15K07386
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
磯野 直人 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (70378321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝崎 裕隆 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (10262990)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ホスホリラーゼ / β-1,3-グルカンホスホリラーゼ / ラミナリデキストリンホスホリラーゼ / β-1,3-1,4-グルカン / ラミナリデキストリン / β-1,6-グルコシダーゼ / ゲンチオビオース |
Outline of Annual Research Achievements |
Halobacillus halophilus由来の糖質加水分解酵素ファミリー(GH)94に属するホスホリラーゼ様タンパク質の機能解明に役立つ可能性があると考え、隣接遺伝子にコードされているGH30サブファミリー1に属するタンパク質(HhGH30A)の機能解析を試みた。GH30サブファミリー1に属する酵素は主に動物で調べられており、β-グルコシルセラミダーゼであることが明らかとなっているが、原核生物由来の酵素については報告されていない。大腸菌コールドショック発現系を用いてヒスチジンタグが付加されたHhGH30Aを生産し、ニッケルカラムで精製した。HhGH30Aはβ-グルコシルセラミダーゼではなく、ゲンチオビオースやラミナリンのβ-1,6-グルコシド結合を分解するアノマー保持型のβ-1,6-グルコシダーゼであることが明らかとなった。これはGH30における初めてのβ-1,6-グルコシダーゼの報告例である。また、高濃度のグルコースとHhGH30Aを混合して反応を行ったところ、縮合により苦味のある二糖のゲンチオビオースが合成された。 また、前年度からの継続分を含めて計14種類のGH94に属する機能未知タンパク質の機能解析を試みた。大腸菌コールドショック発現系を用いてタンパク質を生産しニッケルカラムで精製した。酵素活性を調べたところ、このうちの8種類は既知の酵素と同等の反応を触媒し、4種類のタンパク質の機能は不明であった。しかし、2種類の機能未知タンパク質は新規酵素である可能性が示唆された。このうち、Clostridium属由来のタンパク質はN-アセチルグルコサミン1-リン酸をドナーとするホスホリラーゼ、Paenibacillus属由来のタンパク質はグルコース1-リン酸をドナーとするホスホリラーゼであることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は当初の研究計画の最終年度であったが、複数の新規酵素候補が見つかり、機能の同定や酵素の特性解析を十分に行うまでには至らなかった。また、研究代表者の研究以外の業務が補助事業期間中に増加したこともあり、当初の計画を平成29年度までに終了することが困難であると判断し、補助事業期間の延長を行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
新規酵素の反応産物の構造解析などを行い、酵素が触媒する反応を決定する。酵素の詳細な特性解析を行うとともに、細菌における当該酵素の存在意義を考察する。また、有用糖質合成への応用を検討する。
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Causes of Carryover |
(理由) 当初の予定よりも本研究を実施可能な時間が少なく、酵素の反応産物解析や詳細な特性解析を十分に行うまでには至らなかった。そのため、補助事業期間の延長を行うこととした。 (使用計画) 薬品・プラスチック器具・カラムなどの消耗品を購入する。また、学内機器使用料や学会への出張旅費として使用する 。設備備品の購入は予定していない。
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