2015 Fiscal Year Research-status Report
高温proteolysisによる異常プリオンタンパク質コア構造の解析
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15K07392
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古賀 雄一 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30379119)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超好熱菌 / プロテアーゼ / プリオンタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
異常プリオンタンパク質はクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)のタンパク質性感染因子とされる。異常型プリオンタンパク質が鋳型となって通常型タンパク質を異常型に構造変化させる構造伝播の分子メカニズムは明らかになっていない。超好熱菌由来のプロテアーゼは、タンパク質変性条件下でも十分にタンパク質分解活性を有するため、本酵素を用いれば、オリゴマーを形成した異常プリオン蛋白質を、これまでにない形で分解することができる。ここで分解される可能性があるのはプリオンタンパク質の中でも、変性条件下でもプロテアーゼに対して分解されにくい溶媒に露出していない部位と考えられる。このような部位はマウス脳内で異常プリオン蛋白質分子同士が会合している部分である可能性が高い。この分解産物がどの程度の感染性を有しているのかを検証する必要があった。 プリオンタンパク質を蓄積したマウス脳ホモジネートと、超好熱菌プロテアーゼ、界面活性剤等を混ぜて、60℃~100℃で作用させマウス脳ホモジネートに含まれているタンパク質を分解し、抗プリオン抗体でウエスタンブロット検出した。同様の実験をプロテイナーゼKのような常温性の酵素で処理すると通常型のプリオンタンパク質は分解できるのに異常型プリオンタンパク質が残存する。一方で超好熱菌由来プロテアーゼで作用すると、異常型プリオンタンパク質も分解されることが確認された。プリオンタンパク質のC末端領域に作用する抗体で標識した場合、およそ10kDaの特異的な分解産物が得られることも確認された。この分解産物が感染性を有しているか否かを今後確認していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超好熱菌由来プロテアーゼ2種類それぞれについて、異常プリオンタンパク質のin vitro分解が可能であることが示された。また、分解産物を解析した所、プリオンタンパク質のC末端側10kDa程度が特異的な分解産物として蓄積することがわかった。また、分解に応じて感染性が低減されている可能性が示唆された。このことから、分解産物について解析することの意義が確認されている。
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Strategy for Future Research Activity |
効率的に研究を進めるためには、大量のプロテアーゼを準備する必要がある。超好熱菌由来プロテアーゼは宿主細胞に毒性を示すため大量調製が難しい。毒性を抑えながら発現するシステムの構築が必要である。また、界面活性剤共存下で細胞感染性を示すことが難しいので感染性の評価法を見直す必要がある。
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Causes of Carryover |
超好熱菌由来酵素の毒性の問題で調製が小規模になったため、実験スケールを小さくして検証実験を進めた。そのため、酵素調製費用、検証にかかる費用が当初計画よりも縮小された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
酵素の新しい調製系の確立を行う。そのための委託費用、消耗品、備品費用を計上する。さらに、酵素の大量調製と当初予定の分解産物の調製を平行して行うため、調製に必要な備品、消耗品の購入を行う。
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Research Products
(2 results)