2015 Fiscal Year Research-status Report
植物糖タンパク質糖鎖分解酵素群の解析から明らかにするビフィズス菌間の共生関係
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15K07397
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
藤田 清貴 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (20381189)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 糖質分解酵素 / プレバイオティクス / アラビノガラクタン-プロテイン / ビフィズス菌 / 腸内細菌 / Ⅱ型アラビノガラクタン / ガラクトシダーゼ / アラビノシダーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ビフィズス菌Bifidobacterium adolescentis JCM1275株が有する植物糖タンパク質糖鎖分解酵素群のうち、Ⅱ型アラビノガラクタン糖鎖(Ⅱ型AG)に作用すると予想された糖質分解酵素(GH)ファミリー51に属すBAD_1524とGH27 に属すBAD_1525の諸性質の解析を中心に研究を行った。 大腸菌で発現させた組換えBAD_1525タンパク質は、pNP-β-L-arabinopyranoside (Arap)とpNP-α-D-galactopyranosideに作用した。また、カラマツ由来のⅡ型AGからはL-アラビノース(L-Ara)が遊離し、アラビアガムからはL-AraとD-ガラクトースが遊離した。更に、β1,3-Arap側鎖を有するガラクトオリゴ糖鎖に作用させたところ、L-Araの遊離が確認できた。本酵素の至適温度は45℃、至適pHは5.0であった。また、A75IとG76Dの変異導入を行った結果、α-D-galactopyranosidase 活性が消失し、β-L-arabinopyranosidase活性のみを示した。これよりBAD_1525は、β-L-arabinopyranosidase活性とα-D-galactopyranosidase活性を合わせ持つ酵素であることが確認された。 組換えBAD_1524タンパク質はpNP-α-L-arabinofuranoside (Araf)のみに作用したことから、α-L-arabinofuranosidaseであることが確認できた。本酵素の至適pHは5.5、至適温度は40℃であった。また、α1,3-Araf側鎖を有するガラクトオリゴ糖鎖に作用させたところ、L-Araの遊離が確認できた。 これらの結果より、Ⅱ型AGから遊離されたオリゴ糖は、B. adolescentisに取り込まれた後、菌体内酵素であるBAD_1524及びBAD_1525によって分解・代謝されると予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、GH51 α-L-arabinofuranosidase (BAD_1524)とGH27 β-L-arabinopyranosidase/ α-D-galactopyranosidase (BAD_1525)と共に、植物糖タンパク質糖鎖の分解に関与すると予想された複数の分解酵素の解析を同時に進める予定であったが、発現プラスミドの調製に手間取り実現できなかった。今後、プライマー設計をやり直し、発現プラスミドを再調製する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、B. adolescentis由来のHRGP分解酵素群から3遺伝子をクローニングし、その諸性質の解析を行う。 まず、Ⅱ型AG分解酵素群と予想されたGH43 α-L-arabinofuranosidase (BAD_1527)とExtensin分解酵素群と予想されたGH36 α-galactosidase (BAD_1528) 及びGH127 β-L-arabinofuranosidase (BAD_1529)のクローニングと大腸菌を用いた発現解析を行う。本研究は、大学院生1名と学部4年生2名の研究体制により同時並行で進め、組換え酵素の機能解析は既に調製済みの基質を用いて行う予定である。このため、これらの酵素群の解析は予定通り進むと考えている。
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Research Products
(9 results)