2016 Fiscal Year Research-status Report
植物糖タンパク質糖鎖分解酵素群の解析から明らかにするビフィズス菌間の共生関係
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15K07397
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
藤田 清貴 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (20381189)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 糖質分解酵素 / Ⅱ型アラビノガラクタン / ビフィズス菌 / アラビノシダーゼ / プレバイオティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ビフィズス菌Bifidobacterium adolescentis JCM1275株が有する植物糖タンパク質糖鎖分解酵素群のうち、シグナルペプチドを持たない菌体内酵素としてⅡ型アラビノガラクタン糖鎖(Ⅱ型AG)由来のオリゴ糖に作用すると予想された糖質分解酵素(GH)ファミリー43に属す α-L-arabinofuranosidase候補 (BAD_1527) とGH36 に属すα-galactosidase 候補(BAD_1528)の諸性質の解析を中心に研究を行った。 大腸菌で発現させた組換えBAD_1527タンパク質は、pNP-α-L-arabinofuranoside (Araf)に作用したことから、α-L-arabinofuranosidaseであることが確認できた。また、アラビナンやアラビノキシラン、カラマツⅡ型AGなどのα1,3-Araf側鎖を有する多糖に作用させたところ、L-Araの遊離が確認できた。 また、組換えBAD_1528タンパク質はpNP-α-L-arabinopyranoside(Arap)に作用し、pNP-α-D-galactopyranoside (Galp)にもわずかに作用した。その活性をkcat/Km値を用いて比較すると、β-L-アラビノピラノシダーゼ活性がα-D-ガラクトピラノシダーゼ活性のおよそ14倍であった。このため、BAD_1527はGH36で初めてのβ-L-アラビノピラノシダーゼであると考えられる。また、BAD_1528は糖転移活性を示すアノマー保持型の糖質分解酵素であり、至適温度は40℃、至適pHは5.0であった。 この結果、Ⅱ型AGや様々な植物多糖から遊離されたオリゴ糖は、B. adolescentisに取り込まれた後、BAD_1527及びBAD_1528や、既に解析済みのBAD_1524及びBAD_1525の作用によって分解・代謝されると予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、GH43 α-L-arabinofuranosidase (BAD_1527)とGH36 β-L-arabinopyranosidase (BAD_1528) に加えて、GH127 β-L-arabinofuranosidase候補 (BAD_1529)のクローニングと大腸菌を用いた発現解析を同時に進める予定であったが、十分な発現量を確認することができず、機能解析を行うことができなかった。今後、プライマー設計をやり直し、発現プラスミドを再調製する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、B. adolescentis由来のGH127 β-L-arabinofuranosidase候補 (BAD_1529)のクローニングとその諸性質の解析を行う。また、B. longumとB. adolescentisとの共生関係を明らかにするため、Ⅱ型AG由来の各種オリゴ糖を用いたB. adolescentisの資化性試験を行う。また、カラマツⅡ型AGを炭素源として共培養を行い、Ⅱ型AGの分解性及びそれぞれの生菌数の評価を行う。 本研究は、大学院生1名と学部4年生1名の研究体制により同時並行で進める予定である。このため、予定通り進むと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度に繰り越す研究費が生じた状況は、酵素の機能解析の遅れに伴い、資化性試験の実施及び論文作成への着手が遅れたことに起因するものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品を購入するための物品費として100万円程度の支出を予定している。また、論文作成に伴う諸経費として30万程度、旅費として64万円程度の支出を予定している。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Characterization of novel β-L-arabinofuranosidases acting on HRGPs.2016
Author(s)
Fujita, K., Tsunomachi, H., Ishiwata, A., Ito, I., and Kitahara, K.
Organizer
10th Georgia Glycoscience Symposium / Plant Polysaccharide Workshop 2016
Place of Presentation
Georgia, U.S.A.
Year and Date
2016-07-14 – 2016-07-15
Int'l Joint Research