2016 Fiscal Year Research-status Report
生合成力を活用した複雑精緻な構造を有する生理活性ジテルペノイドの創製
Project/Area Number |
15K07407
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
川出 洋 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20291916)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ジテルペン / 生合成 / 環化酵素 / ユーフォルビア属 |
Outline of Annual Research Achievements |
ユーフォルビア科植物から,アオサンゴ(別名ミルクブッシュ,Euphorbia tirucalli)とハナキリン(Euphorbia milli)の地上部で発現するmRNAの網羅的解析を次世代シーケンサにて行い,得られたデータのトリミング処理,de novoアッセンブル処理,ORF予測,予測アミノ酸配列への変換処理を行い,両植物サンプルからおよそ4万程度の配列をそれぞれ得た。これらのアミノ酸配列をswissprotデータベースからBLASTP検索,HMMERによる活性部位などのモチーフ相同性解析などから(ジ)テルペン環化酵素遺伝子候補をアオサンゴから5種(EtDTCL-1,-2,-3,-4,-5とそれぞれ命名),ハナキリンから11種(EmDTCL-11,-12,-13,-14,-15,-16,-21,-22,-23,-24と命名)を選抜した。これらのうち,TargetP検索で葉緑体移行シグナルを持つことが示唆されたのは,アオサンゴからはEtDTCL-1.-2,-4の3種類,ハナキリンではEmDTCL-15,-22,-23,-23の4種であった。 これらの遺伝子について大腸菌による組換えタンパク質生産を試みた結果,EmDTCL-15, EmDTCL23およびEmDTCL-24について成功した。これらの酵素について基質ゲラニルゲラニル2リン酸(GGDP)と反応させたところ,EmDTCL-15とEmDTCL23に生成物が確認されたが,構造は未解明のままである。EmDTCL-24についてはGGDPとの直接の反応が確認できず,生成物も検出されなかった。そこでGGDPから1段階環化反応の進んだコパリル2リン酸(CDP)を基質に反応を行ったところ,ent-CDPのみから新たな化合物が検出されたが,syn-CDPからは生成物が得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2種のユーフォルビア属植物から(ジ)テルペン環化酵素様遺伝子を取得し,全てではないがcDNAクローニングからORFの取得,そして組換えタンパク質の生産とその酵素活性を2年目で進めることが出来た。組換え酵素により生成した化合物のGC-MS解析から,ライブラリや標品と一致するものではなかった。したがって,新規ジテルペン化合物の可能性もあるので次のステップ(構造解析)に進むべき課題となることから,概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況記載の通り,構造を明らかにしなければならないジテルペン化合物を生成する酵素を取得した。3年目(最終年度)は,当初の予定通り13C標識化化合物の酵素合成と多次元NMRにより構造を決定する予定である。
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